グリフィンドールとの合同授業の時は話しかけられないようにベラや他のスリザリン生とずっとずっと話す。
授業が終われば隙を見せずにすぐ立ち去る。

たまに、食事とかのときにグリフィンドールの方から視線を感じたけど、それは勿論無視。

前に一度呼び止められた気がしたけど無視。


私はホグズミート以降ずっとこの調子。
前とあまり変わらない。

スリザリン生としか交流のない前の私。

実際特に支障も何もない。
ただ、認めたくはないけどなんだか落ち着かない気分でいる。
"心"なんて言うの私らしくないけど、まさに"心に穴が開いた気分"。


「なまえ先輩」

「…」

「なまえ先輩ー」

「あ、レギュラス君。チキン取るの?」

「チキン嫌いだって前言いましたよね」

「そっか、そうだったかもね」

「なまえ先輩?」

「何よ」

「どうかしたんですか?」

「何が?」

「なんか最近…」

「…最近?」

「最近変だよ、なまえ」

「ベラトリックス先輩」

「そう言いたかったんでしょ」

「はい」

「あんた達。2人揃って何よ」

「いやだって、本当に最近変だよ」

「なんか心ここにあらずって感じ」


そんなに変かなぁ。
変だって思われるようになったきっかけは分かってる。
でもあのことを詳しく知ってるのはブラックくらい。
他は誰も知らない。
だからこそ"何かあったのか"なんて思われないように自然に振る舞ってるつもりなんだけどなぁ。


「特に何でもないよ」


これからも何かあったか言うつもりもない。


「そう?」


ベラは疑わしそうに見てくる。


「そうよ」

「本当ですか?」


お前もか。


「本当だってば」


なんか鬱陶しくなってきた。
心配してくれるのは本当にありがたいかもしれないけど、今はふれてほしくない。
面倒くさいし、思い出したくない。
リーマス君のこと、せっかく忘れたはずなのに。


「私、部屋帰っとくから」


席を立つ。
部屋に帰って横になっておこう。



「なまえ先輩の機嫌損ねちゃいましたかね」

「いいんじゃない、別に。」

「はぁ」



廊下に響く私の足音。
今は丁度夕食時間だからだれも廊下にはいなかった。

自分の足音を聞きながらゆっくり歩いていると、背後から誰かの駆けて来る足音。


「なまえ、待って」


声を聞いただけですぐにリーマス君と分かった。
一瞬固まりかけたけど、聞こえない振りをして早足で歩く。


「お願い、待って」


肩を掴まれた。
ブラックの時みたいに振り払うことなんて出来なくて、ついに立ち止まってしまった。
嫌。


「なまえ、僕、」


「ごめん、なさい。今、急いでるから」


切羽詰まった声しか出なかった。
ぎこちない動きでリーマス君に背を向けてまた歩き出す。


「なまえ…」


後ろで私の名前を呼ぶ声がしたけど速度をあげて歩いた。

本っ当に訳が分からない。
私自身の事が。

もういいって、忘れるって決めたはずなのに。
リーマス君に会って鼓動が高鳴るなんて。



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