「なまえったら何張り切ってんの?」

「べ、別に張り切ってないよー。いつもこんな感じじゃん」


ホグズミードへ行く日。
少し張り切った私の服を見てベラが言った。

張り切ったと言っても、いつもの服装より大人っぽい感じの服にしただけど。
いつもそんなに子供っぽいのかなぁ。


あの日から今日まで何回もハニーデュークスに行くか迷った。
でも結局いつも
"行くだけ行ってみよう"
って答えに辿り着いた。

我ながら勢いと度胸はあると思う。

それにしても、ハニーデュークスへ行ったことあんまりないから楽しみだな。

お菓子を買うためにいつもより少し多めのお金を持ってきた。
勿論、買うお菓子はいとこなんかのじゃなくて、私のね。


「じゃ、私ハニーデュークス行ってくるから」

「うん」

「どこで時間潰しとく?」

「うーん…どっかそこら辺」

「じゃあ、帰りは別々で」

「はいよ」

「じゃあねー」


言葉はなく手をひらひらと振るベラと別れた。


どうしよう。
なんかドキドキしてきた。

いやいや落ち着け私。
まず、リーマス君がタイミングよく居るかも分からないし。
もしかしたらあのリリーって子と一緒に来てるかもしれない。

期待とかしちゃいけない。
と分かっているけど、いろんなことが頭を巡る。

頭を巡るいろんなことってのはつまり妄想。
"リーマス君がいたらなんて話そう"
なんて。


店内に入ると、頭がとろけそうなくらい甘い匂いと、独特の色合いが目に入った。
一気にウキウキする気持ちが高まる。
そして心拍数も。

店内は時間帯なのか何なのか、思ってたより人が少ない気がした。

取り敢えず店内を一周するかと、店内の奥へ足を運ぶ。

突然、心臓が一旦止まる。
そして鼓動が加速してまた動き出した。

目の前には鷹色の髪の男の子。
チョコレートのコーナーで顎に手をあて、うんうんと吟味してるリーマス君。

リーマス君の私服は私が想像していたものそのもので、ジーンズにトレンチコートとスマートなおしゃれ。

たとえチョコレートへ向けられてるものとしても真剣な顔をしたリーマス君は格好良くて、見とれた。
店内は適温なんだろうけど、私の体温はどんどん上がっていく。


「あれ、なまえじゃないか」


いきなりリーマス君がこちらを見てきて、また私の心臓は止まった。


「り、リーマス君。偶然ね」

「そうでもないと思うよ」

「え、」


リーマス君目当てに来たことバレてる?


「僕、ホグズミードに来たらよくここに来るし」

「そうなんだ」


びっくりした。
そういうことか。


「好きなの?」

「はい!?」

「甘いもの」

「わ、割と」


リーマス君のことがかと思った。


「あ、リーマス!!」


どこからともなく女の子の声。

「あ、リリー」

「探したんだよー!」


目の前で親しげに話し出す2人。
自分でも信じがたいけど、耐えられない。


「リーマス君、私帰るね」

「え、なまえ?」

「バイバイ!」

「ちょっとなまえ!」


私は頭が真っ白のまま店を飛び出した。



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