意味不明


今日も同じ方向から感じる視線。
視線が送られてくる方をみれば、急いで目をそらす頬を染めた女。

こんな反応は慣れた。

つまりあれだ。

あいつは俺が好きって事だ。


視線を戻した彼女に、優しく微笑みかければさらに頬を赤く染めて俯く。




「君、可愛いよな」

「え、あ、ありがとう…?」


声を掛けたのは彼女がひとりのとき。
反応を見ればこれは確実に脈あり。


「…俺と付き合う気ない?」

「それは、ごめんなさい。」

「え」

「あと、告白は無かったことにして」

「は」


…こんなはずじゃない。
あれはきっと。
いや確実に脈ありだったろ。


「俺の事好きだったんじゃねぇの?」


つい出た本音。
何だ俺すっげぇ格好悪ぃ。


「好き」

「…」


どういうことだ。


「ただ、もう少し楽しみたいから」

「何を?」


それ以上の言葉が出ない。
意味が理解できない。


「片思いって楽しいじゃない?」

「え…はぁ」


俺にはわからんが、女を狙って落とすあの楽しさのことと同じなんだろうか。


「もう少し片思いを満喫していたいの。」

「…」

「だから、」


にっこりと微笑んだ顔に今までにない衝撃を受けた。
可愛い。


「もうちょっと待ってて!」

「…」

「…」

「お、おう」


つい返事をした。
さっぱり訳わからん。


訳わからんが、あの笑顔は…いいと思う。


駆け足で去っていく彼女の姿を目に焼き付けながら、片思いの楽しさがわかった、気がした。



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