咄嗟にブラックの腕を掴んで、リーマス君たちが完全に見えないくらい奥に引っ張った。


「何だよ、どうしたんだよ」


ブラックのびっくりした顔。
私も頭の中ごっちゃごちゃなのよ。


「おい」

「と、」

「なまえってば」

「と、取りあえずあんまりおっきな声で私の名前呼ばないでっ」


声を抑えて言った。
リーマス君に気づかれたくない。
リーマス君とは話したいけど、今は話したくない。
もう訳わからない。
私ったら何なのよ。


「どうしたんだよ」


ブラックも声を抑えてくれる。

どうしてだとか、言いにくい。


「まぁ、どっか座らねぇ?」


ブラックが腕を引く


「だ、だめ」


そっちはだめ。
行きたくない。

ブラックは不思議そうにしている。


「大丈夫か?」

「大丈夫、大丈夫だから」


頭の中は全く大丈夫じゃない。


「具合でも悪いなら逆に座った方がいいぜ」

「違うわ」

「あ、この本取ろうとしてたよな。」


そう、言ってすんなりとさっき私が本棚に登って取ろうとしてた本を渡してくれた。
なんていうか…
さすがプレイボーイって感じ。
気が利く。


「ありがとう。」

「じゃ、ほら行こうぜ」


腕を引かれたが私は動かない。


「…?」

「…」


ブラックは少し困った顔をした。
こいつのことは嫌いだけど、少し申し訳なくなった。


「あ、もしかしてこの本じゃなかった?」

「違うの!ここに居るのがバレたくないの」

「誰に?」

「…あ」


最近の自分のうっかりさは異常だ。


「誰かにここに居ることバレたくねぇの?」

「あ、その」


向かい側の本棚では、私達2人を見てコソコソ話してる女子が居た。
あ、目があった。
いつもなら睨むとこだけど、今はそんな余裕ない。
自分でもびっくりするぐらい。


「そう言えば、」


ブラックが何か思い出したように言った。

「この前のあれ関係ある?」

「この前のあれ…?」


私の頭の中にはリーマス君から頭を撫でられたことしか覚えてない。
まぁ、確かにリーマス君は関係してるけど、あの時ブラックは居なかったし…。
あの時じゃないのかな?

ブラックのことなんて、ぶっちゃけあんまり覚えてない。

ブラックは"言っていいのか"って顔してる。
"いい"って意味で頷いた。

何この無言のやり取り。


「なまえの好きな人、いるって前話したじゃん」


はいはい。
思い出した。
うっかり言ってふっきれた時にリーマス君が来て言えなかったやつ。


「うん」

「それ、関係ある?」

「えー…」


あるけど、なんか言いにくい。
この前の吹っ切れはどこに行ったのよ。

ふと気づけば今の位置から少しだけリーマス君が見えた。
そしてリリーって子も。
ちょっと近くないですか?あの2人。
嫌、嫌嫌。

見たくないのについ釘付けになってしまう。

「なまえ…?」


ブラックの声は私の耳から入って流れて言った。
さっきからだけどそれどころじゃないのよ。


「あ、」


ブラックが微かに声をあげた。
ふとブラックを見れば、私の視線を追ったのか、リーマス君の方を見ていた。

もしかして、


「もしかしてだけどさ」


バレた?


「お前の好きな人って…」



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