「明後日レポート提出あるよね」
「うん」
「図書館行こうよ」
「行かないよ」
「え何で」
「何でもよ」
「レポート明日からじゃ間に合わないでしょ」
「だって私終わったし」
「は!?」
「終わったの」
「…早く言ってよ裏切り者!」
「言ってな」
と言うわけで1人で図書館で調べもの。
ベラったら遊んでばっかりに見えて、ちゃっかり済ませてるんだもんなぁ。
私も、早く終わらせようと最初は気合い入ってた調べものだけど、なんだか飽きちゃった。
今はただひたすら沢山の本が並んだ本棚から、探してる本の背表紙を探す。
なんとなくこの前のリーマス君とのことを思い出した。
まだ鮮明にリーマス君が私の頭を撫でたときの感覚を覚えてる。
にやついてしまいそうだけどひとりでにやつくわけにもいかないから、唇を噛んでそれをこらえた。
「そっか。で、ここは?」
今微かにリーマス君の声が聞こえた気がしたんだけど。
耳までおかしくなったのか、私。
「そうそうこの問題。」
2度目にリーマス君の声が聞こえて幻聴じゃないかもって思った。
でも声は結構聞き取りにくい。
キョロキョロと辺りを見渡せば、すこし離れた本棚の前で何やら作業しているリーマス君。
…リーマス君!?
図書館でリーマス君に会えるなんて今日はツイてる。
本棚で姿が見切れてるけど構わない。
ツイてる私は気が大きくなって、リーマス君に話しかけようと近寄った。
そして唖然とした。
リーマス君の隣には可愛らしい女の子が座っていた。
赤を貴重としたネクタイ。
リーマス君と同じグリフィンドールの子らしい。
「ここは、このページの…ほらここ」
「本当だ。ありがとうリリー。」
リリーって子か。
名前も可愛い。
私は無意識にそっと自分の存在に気づかれないようにリーマス君達から距離を取る。
にこやかに話してる二人を見て心苦しくなった。
悔しいけど、認めたくないけど、お似合いな気がした。
私もしかして嫉妬してる?
ふとリーマス君の方を見やれば笑顔の2人。
あの2人は付き合ってるのかな。
今更だけどリーマス君へは私からの片思いだし、リーマス君に彼女がいる可能性もあるし。
それにリーマス君はやさしくて格好いいからモテるだろうし。
どんどん心がきつく締め付けられていく。
付き合ってるのか、ただの友達なのか。
それも気になるけど、頭の中はリリーって子が羨ましい気持ちでいっぱい。
「はぁ…」
頭の中の邪念を外へ追い出すように溜め息をついた。
とにかくあの2人は見なかったことにしよう。
忘れよう。
…やっぱ無理。
どうしてもあの2人が気になってしまう。
自分の気をそらすために、何となく自分に一番近い本棚を見上げた。
あ、探してた本あった。
ただし、ちょっと高いとこにある。
手を伸ばしても届かない。
目の前のそれを諦める訳にはいかないし。
また辺りを見回して誰も私を見てないことを確認して、本棚の下段に足をかけた。
「なにしてんの?なまえ」
なんでいつもこう絶妙なタイミングで現れるのよ。
「ブラック…」
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