※777キリリク!ふみさんへ




昼の空き時間、いつものように湖の近くの木陰に行く。
私の、私だけのお気に入りの場所。
何より静かで人が殆ど来ないから昼寝には最適。


それが今日は違った。


木陰に近づいた時、誰かの足が見えて眉間に皺を寄せた。

文句言ってやらなきゃ。

何の文句だかしらないけど、とにかく自分だけの場所を侵されたのが気にくわなかった。


「ちょっ…」


その人の顔が確認できる位置まで来たとき立ち尽くしてしまった。
そこに居たのは私の好きな人だった。
同じ寮なのにあまり話したことないルーピン君。

そしてそのルーピン君が目の前で寝てる。

ふとルーピン君が枕にしている本を見るとどこかで見た本。


「あ」


私が図書館で借りてどこかになくしてた本。
ここに忘れてたのか。
返却期限は今日、よかった。


「ルーピンくーん」


熟睡してるとこ悪いけどその本を返してほしい。

待ってみたけどやっぱり何も反応がない。無理に起こすのは気が引ける。

しょうがないから起きるまで待とうかな。

ルーピン君の隣に腰を下ろす。


ちらりと寝顔を見て鼓動が早くなった。
格好いいとか、可愛いとかじゃなくって、綺麗。つい見とれてしまう。



思えば何であんなこと言ったのか分からない。"相手が寝てるから大丈夫だ"とでも思ったんだろうか。


「好き」


本当に蚊の鳴くような小さな声で言ってしまった。
そんな自分に気づいてハッとした。
ルーピン君を見れば寝てる。
よかった。

とにかく、今はここを去ろう。
本は夕方取りに来ればいい。

そう思って立ち上がろうとしたとき、誰かに引っ張られて後ろに転けた。


「いたたた。」

「僕も」

「え」

「僕も好きだよ」


振り返ればルーピン君。
勿論起きてる。


「ちょ、まって、え、どうして!?」


思考回路が滅茶苦茶に。


「僕に好きって言ったよね」

「で、でも、寝てたよね?」


ここは普通
"え?言ってないよぉ"
とか言うべきなんだけどそんな余裕はない。全くない。


「起きてたんだ。ずっと。」

「ずっと!?」


つい大きな声が出た。
体かどんどん暑くなる。


「僕も好きなんだったんだなまえの事。」

「からかってるの?」

「まさか」

「じ、じゃあ本当にルーピン君は私のこと…その…」

「好き」


そんなに何回も言わないで。
恥ずかしくて顔が発火しそう。


「なまえ?」

「は、はい!」

「今の状況分かってる?」


全然分からないです。
あ、夢なのか、そうなのか。


「取りあえず落ち着いて、あと夢とかじゃないからね」


どんどん追い詰められる。
頭が全く回らない。


「深呼吸して」

「う、うん」

「…」

「あ!!」

「どうかした?」

「あの、」

「?」

「その本返してください!」


本を受け取ってもなかなか手を離してくれない。


「あのぉ…」

「返しに行くなら僕も行くよ。」

「え」


そのまま本はルーピン君に引っ張っていかれ、空っぽになった私の手はルーピン君の手に握られた。



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