その後、午後の授業も夕食も何となくボーっと過ごした。

嘘。
ほとんどリーマス君の事考えてた。


部屋に帰ってベットに横になってもなかなか眠れない。

頭の中はリーマス君、リーマス君。
まぁ、眠れないのは他にもあるかもしれないけど…。

私の脳内ドピンク色に染まっちゃったんじゃないかしら。

明日の授業はと言うと午前も昼前の授業だけだからゆっくり朝寝坊出来る。

焦って眠ろうとしなくてもいいのね。
眠れない時眠ろうとすると尚更眠れなくなるし。

談話室で眠くなるまで本でも読もう。

同室の寝てるみんなを起こさないように、そっと部屋を出た。



談話室に近づくと真夜中なのに紙が擦れる音がした。
何故だか忍び足で静かに談話室に入る。


「シシー先輩…?」


中に居たのはシシー先輩だった。
ナルシッサ先輩へのシシー先輩って呼び名はベラがシシーって呼んでるから、呼ばせてもらってる。


「なまえ?」


シシー先輩は読んでいたらしい本をそっと閉じた。
紙擦れの音はページを捲る音だったのね。
それにしてもシシー先輩は何してても上品。
こんな女性になれたらなぁ、なんて。


「ここに座る?」


ソファーの隣のとこをポンポンと叩いた。
お邪魔します。


「何読んでるんですか?」

「えっとねぇ、"薬指の行方"」


聞き覚えがないタイトル…


「知らないかしら?恋愛小説よ」

「へぇ」

「なまえは恋してるの?」

「へ!?え!?」


びっくりした。
いきなりこんなこと聞かれるとは思わないじゃない。
それにしても私の態度も考え物よね…
これじゃあバレバレ。


「どんな人?」


率直に名前を聞かない所が上品で奥手な先輩らしいな。

頭の中でリーマス君を思い浮かべる。
ちょっと照れくさい。


「見た目は格好いいけど可愛くって、爽やかで、あまり話したことないけどすっごく優しくていい人なんです。」

「そうなの」

「でも、今考えてみると私と釣り合うか分からないし、性格だって正反対かも。何より私とその人が一緒にいると周りはよく思わないんじゃないかって。」


今日の昼食の時のみんなの視線を思い出す。
言うつもりないことまでついペラペラ言っちゃった。
シシー先輩はうんうんと静かに聞いてくれる。


「なまえはまだ学生じゃない」

「まぁ」

「許婚も居ないでしょ」

「…多分」

「だったら今どんな人に恋するかはなまえの自由じゃないかしら?結婚は別になると思うわ。家柄とか複雑だからね。」


シシー先輩が私の手を握る。
先輩の指先冷たい。


「でも恋は別よ。今は自分の為に一生懸命恋をして沢山泣いて、沢山笑うべきだわ。」


先輩の手がぎゅっと私の手を握った。
私もぎゅっと握り返す。

正直に有り難い言葉。
たった1歳違うだけなのにここまで考え方が大人だと私が幼いのかな…とか。
でもとりあえず、


「そうですね。当たって砕けてみます。」


先輩はニコッと笑って
"それじゃあ、そろそろ寝るわ。頑張ってね。"
と言って部屋に帰って行った。


…何か急に談話室に1人。
寂しいから私ももう寝ようかしら。



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