大広間に入った瞬間あちこちから視線を浴びた。
そりゃそうよね。
だってこの組み合わせ。
中でも私から見て目の前に座っていた女の子は、私をものすごい形相で睨んでた。
きっとブラックの遊び相手か何かでしょう。
私だってブラックと一緒に居たくて居たんじゃないのよ。
ブラックへの恨みも込めてその子を睨む。
サッと視線を逸らされた。
勝ったわ。
「それじゃ、またね」
「うん」
「じゃあななまえ」
「…」
リーマス君のみと簡単な挨拶を交わして、私達は自分のテーブルへと別れた。
"またね"だって。
たとえリーマス君にとっては社交辞令でも"また"を期待してドキドキする。
当たり前の様にベラの隣に座った。
ベラは私の方をチラッと見て口を開いた。
「大丈夫だった訳?」
「何が?」
「なまえの手よ」
「私は大丈夫よ」
ベラに限らずスリザリン生は同じスリザリン生には優しい。
というかスリザリンは団結力が強いのかな。
どうでもいいか。
というか、ベラにブラックやリーマス君と居たことを何と言われるか少し不安だったけど、そのことについては逆に何も言われなかった。
何かそれはそれで気まずい。
見てなかったのかな?
ああ、でもなんか興味がなさそう。
「なまえ先輩」
名前を呼ばれて前を見ればレギュラス君。
「どうしたの?チキン取って欲しいの?」
「チキンはあまり好きじゃないです。」
「珍しいわね。」
「それより兄に何かされませでしたか?」
…兄?
ああ、ブラックか。
何もされてないと言えばされてないけど、ストレスは溜まったわね。
「ううん、別に」
まぁ、ここは当たり障りなく答えとく。
「よかったです。兄になまえ先輩の名前聞かれたので。」
「教えたの?」
「すみません。あんまりにもしつこかったので。」
あんたが言ったのかよ!
"しつこかった"に明らかに悪意がこもってたし、相当しつこかったんだろうけど…
「兄には気を付けてください。少しでも見た目がよければ、中身がどうであろうと寄っていく男ですから。」
「うんう」
…ん?
「ちょっと、何気に失礼じゃない?まるで私が"見た目も差程良くない上に性格滅茶苦茶"みたいな…」
「…」
あれ、私の被害妄想かしら?
言わなきゃよかったかな。
「フッ」
わ、笑いやがった!
こいつ確信犯か。
やっぱりこいつもスリザリンか。
「冗談ですよ」
「うるさいなぁ。笑ってんじゃないわよっ。」
ふと、目の端に何かが映った。
あの黒髪…
止めときゃいいのに、よく見てみれば案の定向こうのテーブルに居るニヤニヤ顔のブラック。
「わっ」
向こうから見えないようにレギュラス君の影に隠れる。
すっごく不快。
「どうしました?」
「な、なんでもない。取り敢えず動かないで。」
レギュラス君は私を不思議そうな目で見る。
そんな目で見ないでよ。
あんたの兄さんの所為なんだからね!
long / top / short