「そうだ、もう授業終わってるだろうし一緒に昼食に行こっか。」
マダム・ポンフリーが帰ってきたときリーマス君は私に微笑みかけながら言った。
笑顔が、眩しいです。
「う、うん」
まだ鎮まらない赤い頬に手を添えながら私は頷く。
立ち上がり歩き出すリーマス君に続いて医務室を出た。
暖かかった医務室と比べ廊下はひんやりしていた。
人が全くいなくて私達の足音が響く。
それから、ふと思い出した
"スリザリンなんだね"
っていうリーマス君の言葉。
もし、私がスリザリンってことで少しでも引かれてたら…無いかも知れないけどとっても不安。
好きだから嫌われたくない。
どちらかと言えば好かれたいじゃない。
だからって何て言えばいいんだろう。
"スリザリンが嫌い?"
ないない。
こんなこと聞かれて嫌いなんて言える人なんて滅多に居ないわ。
"私のこと嫌い?"
これもない。
率直すぎる上にきもい。
悶々と考えていると前から足音。
大広間に向かう逆の方向なのに怪我でもしたのかしら。
…ん!?
「おっ!リーマスとなまえ発見ー!」
「げっ」
ブラック…
突っ込みどころは沢山ある。
でもまず、
「何で私の名前知ってんのよ」
「聞いた」
「誰によ」
「…へへ」
何濁らせてんのよ。
まぁ、女たらしのこいつのことだしどっかの尻軽女にでも聞いたんでしょ。
「あと呼び捨てしないで」
「堅いこというなよっ」
わあああ。
肩 さ わ ん なっ。
「というか何よ?何か用?」
折角のリーマス君との2人の時間をこんな奴に邪魔されたと思うと、単純にむかつく。
「用は無いけど…お前ら探してたんだよ。特になまえ。」
最後が余計。
というか用無いのに探すなんて馬鹿?
馬鹿だったか。
「何も用がないなら私達行くから。」
早くどっか行ってよ!
グリフィンドールのリーマス君と2人きりなんて本当に滅多にない貴重な時間なのに。
私が右に進むとブラックも右に。
私が左に進むとブラックも左に。
何これ、カバディ?
すごい滑稽。
「どいてよ」
「どこ行くんだよ」
「どこでもいいで」
「大広間だよ。昼食に。」
リ、リーマス君!
何で言っちゃうのよ。
リーマス君だから責められない。
ブラックがニタッと笑った。
きもいから取り敢えず一瞥。
「俺も行くよ」
嗚呼、言うと思った。
リーマス君をチラッとみると、笑顔で
"こいつも一緒いいよね?"
なんて。
リーマス君の頼みには断れない。
笑顔のリーマス君と、ニタニタ顔のブラック。
その真ん中に眉間に皺を作った私が挟まって歩いた。
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