◎負けるわけには

「はくたくさまは」
「うん」
「かみのけ」
「髪?」
「きらない?」
「何で?」
「ほーずきさまがね」
「…鬼灯?」
「かぁっこよかった」
「!!桃タローくんちょっと!僕これから髪切に行ってくる」
「はぁ?今から?何処にですか」
「東京の青山!なんかカリスマ美容師いそうだし」


◎なんていうか

「青山がどんなとこかよく分かりませんけど、確実にその格好で現世行くのはやめてください」
「なんで!」
「見てわからないんですか、幼女のあの可哀想なものを見る顔を」
「はくたくさま」
「何?」
「ださい」
「…」
「すっごく、おじいちゃんみたい」
「…まじか」


◎現世1

「突然ですが、やって来ました!現世!!」
「わー」
「おぉ…!反応上々!」
「すごいねー」
「ね、凄いでしょ?」
「ながい」
「ビルね」
「うごく」
「あれは車」
「あとね」
「うん」
「はくたくさま、ふく、ださい」
「ちょっと、駄目出しは桃源郷でしてよ!今更戻れないよ!」


◎現世2

「君のせいで僕を見てるお姉さん達の目が全て服に注がれている気がしてならないんだけど!」
「ださい」
「そう、あの愛らしい笑顔からそんな毒が吐き出されてるような錯覚!!」
「はくたくさま」
「何かな」
「うるさい」
「そうだね、ごめん。久々の現世ではしゃいじゃった」


◎さびしがり

「はくたくさまー」
「何っ、ていたたた!耳飾りそれ、呼び鈴じゃないたいたいいたい」
「はくたくさま」
「ぅおっと、どうしたのさ急に」
「かまって」
「うん」
「あげなきゃなーって」
「その気配りだけで僕生きていける気がする」
「さびしいし」
「僕が?」
「んーと」
「君が?」


◎つめきり1

「爪切ろう」
「やだ」
「長いと危ないよ」
「いや」
「引っ掛かるし、割れるし、怪我するよ」
「や」
「さては爪切りのパチンって音が苦手なんでしょー?」
「ぅ」
「まぁ、分からんでもないけどさ、切らなきゃダーメ」
「やーだ」
「じゃぁヤスリだ」
「や」
「何で」
「もぞもぞする」


◎つめきり2

「ちょっとー、爪切るだけで何でそんな大泣きするのさぁ」
「やぁぁだぁああ」
「もー桃タローくーん、リコちゃんが爪切らしてくんないんだけどー!」
「え?爪?今切ればいいじゃないですか。貸してください…ほら」
「ママか!」
「泣いてんですから気付きゃしないですよ」


◎つめきり3

「ほら終ったよ爪切り」
「主に俺がやりましたけどね」
「圧倒的な桃タローくんのママスキルに僕太刀打ち出来無いよ。今度からママタローくんって呼ぶ」
「呼ぶな」
「ままたろぉ」
「呼ばなくていいです!って、あぁあ目擦らないで下さい。今冷やしたタオル持ってきますから!」


◎ゆびきりげんまん

「小指出して」
「こゆび」
「そうそう、それでこうして」
「こう」
「指切り」
「ゆびきる」
「約束するときには、こうやるの」
「やくそく」
「リコちゃんが僕以外の野郎に一生靡くこと無く、随時僕の側で笑顔を振りまいてくれる事を約束して」
「聞いてて気持ち悪いよアンタ」


◎らくがき

「何それ」
「おめめ」
「わ、油性だし」
「みてみてー」
「あーあーもうこんなにして」
「おでこおめめ」
「あ、こっちも汚れてる」
「はくたくさま」
「片付けるよ」
「ねー、みてみてー」
「…見てるよ、見てるクッソ可愛くてどうしたらいいか分かんないんだよ!」
「おそろい!」


◎猫好好ちゃんのうた

「絵描きうた?」
「できた」
「マジか天才だろうちの子!!」
「えっとねー、ぬけたはにー」
「ん?いきなり可愛くない。抜けた歯?」
「いっぱい、むしば」
「ぅ、うん?」
「うぞぞぞーってして、まるかいて」
「ぁ、丸は描くんだ」
「ふぉーくよっつを、じめんに、さす!」
「!」



*

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -