思いと現実の悪循環
※LITTLE設定ナルトたちは下忍。
カカシ変態バージョンです。



今年、アカデミーを卒業した下忍たちは中々の粒揃いでこれは将来が楽しみだなと期待されているなか、最もその注目を集めているのが里内でも五指に入ると言われているはたけカカシ率いる第七班だった。
その班には九尾の器のうずまきナルトに、うちはの生き残りうちはサスケ、そして滅んだ筈の血継限界を持つ春野サクラと言う、ある意味かなり目立つメンバーで構成されている。
しかもこの三人は里最強の暗部、黒月の養い子でそれぞれが相応の力を有しており、だからこそはたけカカシと言う人間に預けられたのだ。
三人はべつに、誰になんと言われようと知った事ではないと思っているし、彼らを理解してくれる者も多数居る(筆頭は暗部)
更に養い親からは「馬鹿の台詞は素通りして結構」との教えを叩き込まれているので悪意も対した意味は無い。
しかし今、そんな三人の頭を悩ませて居るものがあった。
「ナルトサクラサスケ〜、こっちおいでヨ〜!」
「うざいってば」
「キモいわよ」
「いっそ死ね」
「酷ぉーいッ」
それが、先程紹介した下忍の三人の上忍師であるこのはたけカカシである。
昔、ナルトがシカマルに引き取られる前までしつこくナルトを引き取ると言っていた張本人で、更に黒月経由でサクラとサスケに出会ってからそれは加速した。
三人いわくショタコンのロリコン野郎らしい。
毎日繰り返される過剰なスキンシップに家に帰ってからぎゃんぎゃんとシカマルに愚痴を零すのが日課になるほどだ。
なら叩きのめすなりなんなりすれば良い…と思うが、シカマルの意向によりまだ三人はギリギリ上忍レベル程度までしか鍛えられていない。理由としては暗部に入りたいと言われるのを拒否するためだ(シカマルはとことん過保護である)
つまり三人揃っても苦戦程度までは出来るが逆に返り討ちにあう確率の方が高く、手が出せない。
「ねぇーえ、先生寂しいなぁ」
「触るなってばよ」
ムッとした顔で手を延ばしてきたカカシを叩いて三人固まるとべーっと舌を出す。
それすらカカシを上長させるに過ぎないのだが…その辺りを良く分かっていない三人は可愛いなぁ!と両手を広げて迫ってくるカカシに悲鳴を上げて逃げ出した。
勿論置き土産にと術を放つ。
が、悲しいかな。
毎日こんなやり取りをしているおかげでカカシもレベルアップしており、写輪眼剥き出しでにやにや笑いながら追い掛けてくると言うシュールな状況に陥った。
「こっち来ないでよ変態!」
「えー、先生に向かってそれは酷いんじゃないのかなー?」
「どこがだウスラトンカチ!」
バタバタと猛スピードで逃げ回る三人は最近脚力が異常にスキルアップしているとか。本人たちはかなり必死なのが涙を誘う。
「何なんだってばよ何なんだってばよー!」
「じい様も何考えてあんな奴上司にしたのよ馬鹿ぁー!」
「マシだろ!俺なんてアイツと同じ目を持ってるのにッ!」
「うわーん、助けて黒兄ちゃぁぁああんッッ!!」
走りながら大絶叫する三人。
ふとそこで、視界に十班の姿が映る。
そこにはシカマルの影分身も居て、三人は影分身に向かって突進した。
「シカぁああ!」
「あ?」
なんだ、と影分身が声のする方を見上げると、ガバァッと自分に飛び掛かって来る三つの影。
下忍程度の実力しか与えられていない影分身は避けることも叶わずそれらの下敷きになってしまう。
ちなみに指輪探しで他の班員と離れた場所に居た為コレがばれることはない。
「ぐふぅっ」
「シカシカシカ!助けてってば、て言うか黒兄ちゃん呼べ!!」
「もうやだあんな変態堪えられないのよ!」
「早く黒兄さんを呼べ!」
「ぐっ…お、お前らっ、退けッ、おもっ」
右にサクラ、左にサスケ、中央にナルトと言う布陣で乗り上げられた影分身が息も絶え絶えに言うが、そんなのお構いなしらしい。
三人は早くシカマルを呼べと容赦なく影分身をべしべしと叩いた。
なんで俺がこんな目に!と、もう何度目とも分からない心の叫びを上げながら影分身は今の状況を本体であるシカマルに流した。
あと数秒もすれば現れるだろう、と影分身が溜め息を吐けば視界に銀髪が入り込む。
「やぁっと見つけた。もーダメだよお前たち、任務放棄しちゃ!」
でも可愛いから許す!とにやけ面のまま突進してきたカカシに三人がヒィッ!と引き攣った声を上げた、その瞬間、視界が漆黒で染め上げられた。
次いで、ゲシッ、バキッ、メキョグチャッと言う効果音。
目を閉じていた三人が恐る恐る顔を上げれば、一仕事終えてスッキリしたような顔の黒月、シカマルの姿が。
「まったく、人が居ないのを良いことにうちの子に手を出すなんて許せませんねこの害虫は。三人とも、大丈夫ですか?」
モザイクがかかりそうな勢いの姿になってしまったカカシを足蹴にして忌ま忌ましそうに呟くシカマル。
そしてそれとは違い優しい声で三人に振り向けばむぎゅぅーっと力いっぱい抱き着いてくる。
「く、黒兄さんありがとう!も、スッゴい気持ち悪かったんだ!」
「うぅ〜、担当上忍変えてよー」
「そうだってばよ!」
「そうですねぇ…いっそもう一体影分身作りましょうか」
こんなのに大事な大事な養い子を預けておくのは嫌だな…と改めて思ったシカマルは涙目の三人の頭を撫でて溜め息を吐く。
だがしかし、よっこいせと起き上がった影分身がその呟きに眉を寄せ、冷静に突っ込んだ。
「それ以上チャクラ使ったら、倒れるぞ本体」
「……なんとかなりませんかね」
「上忍レベルの影分身作ってたら今の状況じゃ忙殺するぞ」
影分身からの言葉に、まぁ確かになぁと仕事の忙しさと、他にも諜報用や他の部署に置いている影分身の存在を思い出して、やっぱりコイツに三人を頼むしかないのか…と頭を抱えるのであった。
「なら俺たちにもっと修業つけてくれってばよ!」
「そうよ、そしたら私たちも暗部で働けるし」
「黒兄さんの手伝いが出来るだろ?」
「……ちくしょう」
それを言い出すから強くしたくなかったんだ…ッ!と過保護なシカマルはカカシに向かって再度蹴りをお見舞いした。


END
過保護過ぎる(笑)
唯世様、リクエストありがとうございました!