専属ナイト
山中いのと言う女の子は、それはそれは大層可愛がられて育った。
蝶よ花よいのちゃんよ、と愛娘に盲目なイノイチを筆頭に娘が欲しかったのと奈良、秋道の両家の親にも可愛がられた。
そんな中いたシカマルとチョウジは気が付けばいのはお姫様で自分たちはそれを守らなければならないのだと幼心に刻みつけていた。
だがそれと同時に、チョウジはシカマルをも守る必要性もあったのだ。
普段はめんどくさそうにしているが、髪を下ろしたりしているとヨシノ似の顔立ちが顕著に現れ、正直綺麗な顔立ちが危ない趣味のおじさんたちに人気なのである。
いのと手を繋いで歩いていたらそんな趣味のおじさんに二人揃って「君達可愛いね、お菓子あげるからおじさんと遊ばない?」と誘拐されかかった数は数えるのも馬鹿らしい程。
毎度そんなおじさん方から二人を救い出し、時には無い筈の脚力をフルに使ってシカクとイノイチを呼びに待機所まで走りもする。
と、言う訳で無自覚に可愛いらしさを振り撒くいのとシカマル両名は日々チョウジによってその身を守られていた。
そして中忍になった現在、落ち着いていたと思われていたソレが再び復活し始めた。
下忍になってからシカマルはドベ2と言われ気の抜けた表情でいることが多かったし、微妙に老け顔と周囲に取られ幼い頃程の危険は無くなり、いのもサスケ一直線のがさつな女の子と取られ顔だけは可愛いねとやはりこちらも安全地帯にいた。
だが三年、たったそれだけで周囲の環境も、そして二人も変わってしまう。
いのは誰が見たって美人で昔とは違いおしとやかに、花屋で働いている姿目当ての常連が出来るほどに。
シカマルはのんべんだらりが嘘のようにたった十五歳で中忍の部隊長を勤めそれに見合う実力を手にし、やはりヨシノに似てきたお陰で男に見えるが、しかし綺麗と言われるようになってしまった。
いのには不埒な男が大量に群がり、果ては姐御肌が起因してかくの一にも言い寄られ、シカマルには女性と、こちらも男が言い寄り始めている。
「あの、山中さん今日暇?」
「えー、あっと…すいません、約束があって」
「奈良中忍、一緒にお食事でも」
「すいません、今日は先約が」
そんな彼らを守る為にチョウジは幼なじみの特権をフル使用して二人と一緒に食事をしたり、修業をしたり。
シカクとイノイチからは何時もありがとうと大量の賄賂を貰っている。
そんな物無くても、チョウジは二人を守ることは止めないだろうが。
「チョウジー、ごめん遅れちゃったー?」
「悪いなチョウジ」
「良いよ。それより僕お腹減ったよー」
にこっと笑う二人に癒されながらチョウジは焼肉Qの暖簾をくぐる。
遅れた理由は、分かっている。その理由を作った人間は逐一、彼らの父親に報告しているのだから。(シカクは己の権力を余すことなく使い二人に言い寄る不埒な輩を片っ端から闇討ちしている。上忍班長様々だ)
「そうだ、母さんが久しぶりに二人に会いたいって。明日うちに来ない?」
「おー、そーだなー」
「じゃあ明日、いのの家に集合だね(よし、これで明日は大丈夫だね)」
明後日はどうしようか、とチョウジは談笑している二人を見てニコニコと微笑んだ。



END
ブラックチョウジ!
てかホントシカマル美人になっちゃって聖さんもびっくりだよ。