安息地 『シカマル君っ♪』 「ヒッ!?」 奈良シカマル12歳。 近頃女が怖いです。 なにが怖いって、そりゃ昔から母ちゃんも怖かったし、いのだってクセがあって普通以上に濃い奴の相手も出来るって思ってた。 けど怖い。 なんだってこいつら、休み時間の度に俺の所にきやがるんだ。 マジ、ほんと勘弁してくれ。そんなに俺に嫌がらせしてぇのかよ。 こいつらのお陰でやたらと風当たりが強くなってんだ。先輩たちから睨まれるし。 煩くしてんのは俺じゃねぇっての。 誰の差し金かは知らねぇが俺に嫌がらせしたいなら直接来いってんだ。 「シカマル、あんたね、それ本気で言ってるわけ?」 「は、当然だろ。そもそもイケてねー派の俺に女が近寄るとかまず有り得ねぇから」 「……この、鈍感男。あんた今モテモテなのよー」 溜め息を吐かれて、明らかに褒めるとは逆方向の台詞をいのから貰う。 お前に幼なじみにあげる優しさとかって無いわけ? なんかチョウジも笑ってるし。熊に至っては腹抱えて爆笑してやがる。 ムカついたから熊には影首縛りをお見舞いしてやった。首を押さえてもがく熊を見たらスッキリしたのでまたやろうと思う。 「つーか、俺がモテるとか、ありえねー」 「シカマルはカッコイイよ」 「チョウジ…俺お前の幼なじみで心底嬉しいぜ」 にっこり笑って肩を叩いてくるチョウジになんか癒された。 最近ゴツイ顔のオッサンの面しか見てねぇから無茶苦茶癒される。 「それよりシカマル。そろそろアスマ先生死にそうよ」 「あー、大丈夫だって。頑張って吸い込んだら呼吸出来る程度しか気管絞めてねぇから」 「生かさず殺さずね」 「これが良いってこの前イビキ特上に聞いた」 「あー、あの中忍試験の時の試験官の人」 じたばたともがく熊に更に影を伸ばして頸動脈を抑える。真っ青になる熊を見て満足したから影を離してやった。 「アスマ先生だっさーい」 「ねー」 肩で息をする熊もといアスマにいのとチョウジから激が飛ぶ。 アスマはぐったり地面に倒れて動かないから三人で通行の邪魔だと言いながら足で端っこまで蹴り転がした。 「情けないわ。こんなんだとシカマルに先越されちゃうわよー」 「だから、悪戯だろ」 「あんたも馬鹿ねー。良く考えてもみなさいよ。十二才で中忍なんてある意味異例よ!アカデミー卒業してまだ一年経ってないじゃない」 「そうだっけ」 「そうだよ」 「それにあんた一応旧家の次期当主でしょ。有望株よー」 「……なんか、女ってやっぱめんどくせーのな」 つまり地位と金で俺に寄って来てるのかよ。すっげぇ嫌。 しかもよぉ、中忍になれたとか言うけど俺なんか体力無いわチャクラ少ないわで自分でもなれたのが嘘みてぇだし。 毎日毎日五代目に押し付けられる書類に雑用、中忍になった途端Aランク任務まで渡されっしさ。 ていの良い雑用係じゃん。 「あー…下忍に戻りてぇ」 「まぁまぁシカマル。ほら、気分転換に甘栗甘と焼肉行こうよ。アスマ先生が奢ってくれるからさ」 「俺抹茶パフェデラックスバージョンと黒蜜寒天餡蜜食いたかったんだよ。行く行く」 「私もー!」 「つー訳で起きろ髭熊」 「…俺に拒否権はねぇのか」 『無い』 最近休み無くてほとんど甘い物とか食え無かったし。 アスマの金だから懐も痛まねぇ。持つべき者は上忍師だな。 「この三つ子めッ!!」 だからなんだ。 てかアスマが勝手に俺のIQ計って吹聴しやがったせいでもあるんだ。 今日はたっぷり愚痴を聞いてもらうぜ、センセー? 「行きましょシカマル!」 「おー」 「ほら、アスマ先生も行くよ!」 「はぁ…」 ま、でもこの面子でいられるだけで充分なんだけどな。 END [戻る]
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