依存者革命 「あのさ、あのさ、三人に聞きたいことあるんだってばよ」 「どうしたのナルト?」 「なによ」 「んー?」 二班合同の草刈り任務中、ちょこちょことアスマ班の三人に近付いて来たナルト。 三人は鎌を置いてナルトに視線を向ける。どこかきらきらした目で見てくるナルト、そして何故かサスケやサクラもついて来た。 「前々から聞きたかったけど、いのとチョウジっていっつもシカマルの言うことは聞くってば。それからシカマル庇うけど、なんで?」 「……そうかしら?」 「そうだってばよ」 こくん、と頷くナルトにいのが困ったように笑い頬をかきながらうーん、と唸る。 チョウジも似たような感じで、シカマルだけがぽかんとしていた。 「そう言えば、そうよね。普段はいのが引っ張ってるのにシカマルが何か言ったらそっちの方を聞くものね」 「確かに」 ナルトの台詞に賛同するようにサクラが続け、サスケも同意。 それに更に苦笑を浮かべるいのとチョウジ。 すると突然なにを思ったのか、二人がガバッとシカマルに抱き着いた。 「ちょ、おいこら!」 「な、なにしてるんだってばよ二人共」 それに慌てるのは、抱き着かれたシカマルと見ていたナルトたち。 至極楽しそうに二人はシカマルを挟んでにっこりと笑うと、揃って口を開く。 『だって、私(僕)たちにとってシカマルは特別だから』 と、そう言うと二人は…いのは右、チョウジは左の頬に軽くキスをする。シカマルは最初こそほうけて眉を寄せたりしたが、しかし満更でもないような様子で受け入れる。 だがナルトたちはあまりに自然な流れのそれに開いた口が塞がらない。 そんな三人を置いて、キスをされたシカマルはお返しのように二人の頬にキスをする。 どうやら日常茶飯事らしい行動に今度はぴしりと固まるしかなかった。 「ったく」 苦笑しながら笑うシカマルに、いのとチョウジも笑顔を見せる。 今日はもう、任務を再開出来そうにないな…と。 一方一連の行いを傍観していた上忍たち、カカシもぽかんとした顔でシカマルたちを見、アスマはあーと唸りながらがりがりと後ろ頭をかいた。 「ちょっと熊、なんなのアレ」 「…仲良きことは美しきかな」 「そんなレベルの話しじゃないでしょ!」 普通キスとかするか!?と珍しく一般論を吐き出すカカシにアスマは遠い目をしながら答える。それはもはや、悟りをひらいた僧侶が如く。 「あいつらにとって世界の中心はシカマルで、シカマルを好きな自分が当然だと思ってんだよ。恋愛とかそう言うの一切抜きしてな」 ぷふー。 タバコの煙りと一緒に吐き出された同じくらい苦い台詞にカカシも唸った。 「それ、依存って言うんじゃない?忍として致命的だヨ」 「つったって、出来上がってるもん壊すようなこと今更できるかよ」 「…なんか、一人でも欠けた時が大変そう」 「そーだなぁ」 カカシのもっともらしい台詞に生返事をしながらアスマはじゃれあっている三人に向けた視線を細める。 「ま、でもよ。あんな三人が好きなんだよな、俺」 アスマの言葉にカカシはやってられないと深い溜め息を吐いた。 END 十班に夢見てます。 [戻る]
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