【天使と悪魔の会話(悪魔←天使) 5題】1
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タイトルから分かりますようにパロディーです。
そのあたりをサクッと理解して頂ければ良い感じですねはい。

・・・・

:)ナルト
上級天使で次期神様。
何様俺様ナルト様を地で行く天使です。悪魔のシカマルに恋をしたので押し倒す勢いで迫ります。

:)シカマル
サタンの息子。上級悪魔でつい先日天使に惚れられた。とりあえず頑張って逃げてます。決め台詞は普通が一番!


1.「もしかして、これが恋?」
 「…………待て。それは酷く間違っている!」


「あー、暇!なんか楽しいことないかな」
ふわふわと雲の上を飛びながら金の髪を揺らす少年、ナルトはぶつぶつと文句を言う。
ここの所、天界は平和そのもの。悪魔も近頃は人間界に手出しせず己の役目を果たしているので暴れる事も無い。
普通なら平和で良いじゃないか!と並の天使なら言うだろう。
しかしナルトはそのへんの、人間の魂を浄化する天使ではなく、所謂武闘と呼ばれるタイプの天使。
血沸き肉踊る……――とまぁ天使にあるまじき思考の持ち主だった。
そんな訳で目下自らの運動相手を探す為に地上を見下ろしていたナルト。そこでふと、あるものを見つけた。
「ダークマターはっけーん」
にやんっ、とナルトの目が輝く。ダークマターとは悪魔が発するオーラのようなもの。どうやら下級悪魔がうろついているようだ。
「ふっふっふ…」
餌がいた、と呟いたナルトはその場所へと降り立った。


「君たち、何してるのかなぁ?」
地表に降り立ったナルトの先、不細工な形の土くれがうごめきながら人間を取り囲んでいた。
囲まれて居たのは黒い子供。
尻尾のような髪型をした子供は突然現れた天使、ナルトを見て唖然としている。
「てん、し…」
「アレ、お前俺が見えるの?そりゃ土くれゾンビ共から見ればご馳走だな」
一般的に天使や悪魔を人間が見ることは出来ない。が、ごく一部時々見える人間がいる。だからそう言う奴らが天使や悪魔の姿を絵に描いたりできる訳だが…。
「ま、良いか。それより今から助けてやるから大人しくしてろよ」
「ちょ、待っ」
するりと背中に背負っていた純白の長剣を抜き出したナルトはずぶり、とゾンビにそれらを突き刺した。
するとみるみるうちにゾンビが渇いてひび割れ風化していく。
「そーらじゃんじゃん掛かってきなさいな」
言うや、翼を翻し舞うようにゾンビの集団を刈り取っていくナルト。それを呆然と見つめる黒い子供…シカマルは舌打ちをした。
まさか天使、しかも見るからに大天使だろうナルトに助けられるとはと。
地獄で集団脱走があったので父であるサタンの命で非力な子供を装い脱走者を集め地獄に送り返そうとしていたのだ。葬ってくれるならそれで良い。
だが己の正体がばれるのは頂けない。
「めんどくせぇことになりやがったな」
そう呟いた瞬間、シカマルの視線があるものを捕らえた。
それは今回シカマルがわざわざ脱獄集団の狩りに選ばれた原因、ゾンビに寄生する肉食スライム、それがナルトに殺されたゾンビから這い出しナルトに襲い掛かろうとしているのを。
マズイ。
ここで天使を殺されでもしたら絶対に一悶着起きる。
せっかく平和でのんびり出来ているのに、この平穏がスライム一匹でぶち壊し。しかもその場にサタンの息子がいたとあれば……結果は目に見えていた。
「ちくしょうっ!」
瞬間、シカマルの背中から真っ黒な四枚の翼が生え括っていた紐が髪から落ちる。
「天使、危ねぇぞ!」
「は?」
その声にナルトが振り向けばゾンビからナルトに寄生しようと紫色のスライムが牙を剥き出して襲い掛かっていた。
間に合わないっ!とナルトが思った。が、それは突然目の前に飛び出してきた悪魔シカマルにより助け出される。
超スピードで移動したシカマルがナルトを抱き上げ空に逃げたのだ。
「悪魔っ!?」
「悪い、巻き込んだ」
そう言ってスライムに向けて闇のようなモノを放ちトリカゴのようなものに閉じ込める。
一連の動作を見ていたナルトは目をぱちぱちしながらシカマルを見上げる。
「はぁ…怪我、ねぇよな?」
どくんっ、と心臓が跳ねた。
切れ長の黒真珠の瞳に濡れたような長い黒髪。
天界にはない、闇の色。
どくり。
また心臓が跳ねた。
何も言わず、ただ固まったままシカマルを見つめるナルト。勿論慌てない訳が無い。
「お、おい、マジで大丈夫か?怪我したか?」
「も……」
「も?」
「もしかして、これが恋?」
「…………待て。それは酷く間違っている!」
やっと口を開いたと思ったらとんでもない発言をしたナルトに思わずシカマルは突っ込みを入れてしまった。

これが、天使と悪魔の出会い。

END