意味8 「チキンラーメン!」 「ちきん、りゃあめん」 「違う違う、りゃあめんじゃなくてラーメンだって」 「らゃーらー、ラーメン!」 「上出来!次は豚骨味!」 「つぎはとんこつあじ?」 きゃいきゃいとはしゃぎながらナルトがシカマルに話し方を教えていくのを側にいた暗部二人の微妙な視線に三代目はついに握っていた万年筆をばっきりとへし折りスゥッと息を吸い込む。 暗部二人…カカシとイルカはその初期動作を見て小指を耳に突っ込んだ。 「何をシカマルに教えとるかぁぁあああああ!!!」 激しい耳鳴り。それと巨大な怒号に窓硝子数枚が割れた。 さてシカマルが火影に預けられ早一週間。 奈良の家とごたごたがあるか、と構えて居たが今のところ一切そんな気配がない。どうやらシカクが上手く立ち回っているらしい。 かくして火影のもとで暮らすことになったシカマル。そこで今行っている事が話す練習である。 シカマルは頭が良く知識があることはここ数日過ごしただけで良く分かった。そもそも奈良一族は頭が優秀な家系。そして闇とはどこにでも存在しあらゆるモノを飲み込むもの。 つまり闇が濃ければ濃いほど闇は広がり知識が入る。闇とは全てを統べる上で無くてはならない存在だ。 それに愛されたシカマルは闇さえあればなんでもでき、得ることが出来るらしい。 しかし身体は年相応。知識に追い付いて行って無いのが現状で、しかも長い間幽閉され人との接点を閉ざされていたシカマルの身体の成長は悪かった。 常々小柄だと言われ続けているナルトよりも小さいのだ。 …まぁ、数年後にはすくすくと成長して見事に追い抜かしてしまうわけだが。 とりあえずその辺りは置いておこう。 三代目に正座させられ上から振ってくる怒声にナルトはぷくぅっと頬を膨らませていた。 「おぬしは、なぜ、そうやってすぐに、ふざけるんじゃ!」 「まだ2歳だもん」 「ナルト!!」 ガァーッと怒鳴り散らす三代目。ナルトはけたけたと笑いながら暗部服を着たイルカとカカシの後ろに回り込んでよじよじとカカシの肩によじ登った。 「ナルト、あんまりお年寄りを虐めちゃ駄目だよ〜」 「カカ兄ちゃんだって似たようなもんじゃん」 「…まぁ、うん。先生の弟子だし?ナルトは先生の子供だもんねぇ」 それじゃぁ仕方ないか、と肩を上げるカカシ。ナルトも頷きながら同じ動作をすれば、ぶちりと何かが切れる音がした。 音のした方を見れば、今にも額から血を噴き出しそうな三代目の姿。 イルカがまぁまぁ、と宥めるがあまり効果は無い。 そんな中、くいっ、と何かが三代目の服の裾を引っ張る。視線を下げればそこにいるのはシカマルで、何か言いたそうに口をぱくぱくと開いていた。 それを見たイルカがシカマルを抱き上げ、読唇術でシカマルの言いたいことを代読する。 「なになに、えーっと『ナルトは俺のために難しい発音の言葉を選んでくれているだけです。だからナルトを怒らないでやってください。それにナルトの言葉は楽しいですよ』ですって」 「シカマル…良い子じゃのぉ」 思わず涙ぐまずにはいられない。机の上のティッシュを掴み涙を拭う姿は見ていて少々痛々しい。 子供心を違った方向でわざと発揮しているナルトにとっては居心地悪い気持ちになるが…やめる気は一切無いナルトだった。 「それにしても、二人ともまだ2歳なのかぁ。俺2歳の頃ってなにやってたかな」 「まぁ、確実に火影様で遊ぶような真似はしてないな」 「イル兄ちゃん酷い。俺だって好き好んで……やってるか」 「やってるんだ」 「まぁ」 てへ、と可愛いらしく小首を傾げるナルトにカカシがかぁわいいなぁもう!と言いながら抱きしめるが先か、再び高血圧になった火影が怒鳴るのが先か。 神のみぞ知る。 END 次から暗部に突入! [戻る]
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