意味4 全てを三代目から聞き終えたナルトは、柔らかいソファーにくてっ、と全身を預けながら両手で顔をおおった。 自分が想像していたよりも、数倍は良くない真実。 しかし自分が狐と呼ばれ里の人間に毛嫌いされ殺されそうになっていたかが理解でき、ほんの少しだけすっきりした。 それから暫く、三代目とナルトの間に沈黙が走る。 「ねぇ」 そしてその沈黙を破ったのは、外ならないナルト。 「なんじゃ」 「俺の、父さんは…波風ミナトは、俺が好きだった?」 「…勿論じゃ。生まれる前から、そりゃあもう凄い親バカでな。クシナと共にナルトが生まれるのを誰より望んでおったよ」 「そっか」 三代目のその台詞に満足したのか、ナルトはふっと口元をほころばせた。 「ありがとう」 そして続いて出てくる感謝の言葉に、三代目はソファーに埋もれていたナルトに腕を回しその小さな身体を抱きしめる。 少しだけ苦しかったが、抱きしめられるのはとても気持ち良くて暖かい。 ナルトは幸せそうに笑んで、三代目に腕を回した。 きっと、これから表に出るようになれば酷い仕打ちが待っているだろう。しかしこうして自分を心配してくれる人も同時に存在する。 なら、そんな存在の為に余計この命を無駄にするわけにはいかない。なにより自分の誕生を望んでくれた父に、その命と引き換えにこの世へと送り出してくれた母に顔向けが出来ないだろう。 「じいちゃん、俺、ね。生きる意味が分かったよ」 すりっ、と額を三代目の肩に擦りつけ、ナルトは言った。 「俺を大切だと言ってくれる人を守るために生きるよ。それが、俺の生きる意味」 「ナルト…」 「だからじいちゃん。俺に力を頂戴。誰にも負けないくらいの、皆を守れるくらいの」 そう言い、ナルトはそっと三代目に巻き付けていた腕を離しジッと真正面から三代目を見た。 その目はどこまでも真っ直ぐで、一切の迷いが無い、子供であることに対する甘え…庇護を断ち切った大人の忍の顔。 それに対し、誰が否と言えようか。 「…よかろう。ナルト、わしの持ち得る全てをお主に託そうぞ」 「ありがとう…先生」 にっこりと、その瞬間から変わった呼称に三代目の目が懐かしむように細められる。 それはかつて見た、同じ色彩の男と被って。 「やはり、ミナトの子供じゃの」 苦笑混じり漏れた言葉に、ナルトは誇らしげに頷いた。 END [戻る]
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