子育ての極意は好奇心
三人の子供を引き取って早くも父性なんてものに目覚めていたシカマルはぬいぐるみを持って可愛いらしく遊ぶ姿をダイニングテーブルに肘を付きながら見ていた。
新しく仲間入りした二体の、これまた黒のネコとクマはそれぞれサスケとサクラが大事そうに持っている。
これを買った時、なんで黒ばかり…と言ったシカマルに対してシカマルの色だからと揃えた声に暴走したのは言うまでもない。
「可愛いなぁ」
ぴしぴしと長いぬいぐるみの手を掴んでぬいぐるみ同士を戦わせているナルトとサクラ。
こうして見ていると、三人の性格はなかなか個性的だ。
ナルトは一本気で、何事にも脇目をふらない。
サクラは行動派で割と頭も使い、ナルトに似た気質をもちながら周りを見ている。
サスケはどうにも内向的な節があるが、ヒートアップしたら何でも言う。
「面白い組み合わせですね」
思って、不意に口から出た。
まだ遊んでいる三人に笑みを向けたシカマルは、さてそろそろ出来たかなと本日のおやつであるプリンの出来栄えを確認しに向かう。
途中、ちょっとした悪戯を思い付いたのでUターンしてソファーに座っているイヌのぬいぐるみを抱き抱えてキッチンに向かった。
冷蔵庫の中から冷えたミルクプリンを取り出してチョコレートクリームを絞り、ミルクティーを用意したシカマルはぬいぐるみを立ち上がらせ、影縛りの術を使った。
ピシッとシカマル同様直立になったぬいぐるみにプリンの乗ったプレートとスプーンを持たせ、自分はミルクティーを持つと今度は影縛りから影真似の術に術を変える。
「さて、どんな反応が返って来るんでしょうか」
クスッと小さく笑って、自分と同じ動きをするぬいぐるみと共にシカマルは三人がいるリビングに向かった。



「ナルト、サクラ、サスケ。おやつですよ」
その声に、三人の耳がぴくりと動く。
おやつ!とぬいぐるみを離して振り向いて……固まった。
「おや、どうしました?」
ちょっと意外な反応にシカマルが首を傾げればぬいぐるみも首をちょこんと傾ける。
そこまでしてようやく我に返った三人は大きな目をこれでもかと言うほど広げて、ガバッとシカマルに抱き着いた。
「可愛いーってばよー!」
「可愛い、スッゴい可愛い!」
「黒兄さんどうやったの!」
「……いや、なんでそこで私に抱き着くんですか」
逆だろう、とシカマルは少しだけ渋い顔をしながら低いテーブル(新しく購入)の上にミルクティーを並べる。
ぬいぐるみも同じ動作でプリンをテーブルに並べ、今度は影操りでぬいぐるみを自分の側に引き寄せた。
「影の術ですよ。私の動作を真似させたんです」
可愛いでしょう?とぬいぐるみの手をとってふりふりと振ってみせるシカマルに三人が激しく首を縦に振る。
「すっげぇってば!流石黒兄ちゃん!」
「喜んでもらえてなによりです」
ちなみにこの後、修行の一環としてシカマルの操るぬいぐるみと戦った三人の姿をそれはそれは楽しそうに写真におさめるシカマルの姿があったそうだ。


END
悪戯好きなんですよシカ様は。
次からアカデミー編にまで吹っ飛びます。