二面性2 「さて暗部になったことですし?ねぇシカマルさん」 「そうですねナルトさん」 『いっちょやっちまいましょうか!』 にやりと微笑む金と黒の子供の背後にはそれはもうありありと黒い翼と先の尖った尻尾が見えた。 明らかに何かを企んでいる。いや、企んでいない訳がない。 くすくすと可愛いらしい笑い声を発しながら二人はトテトテととある場所に向かった。 『こんにちは!』 向かった先は上忍の詰め所の人生色々。を、通り過ぎた先。様々な罠や幻術、結界などが張り巡らされ一部白骨なんかが見える中にある三つの部署だ。 その三つの中心にある内勤者のための休憩所に声を揃えて入室した二人。 それに気付いた大人たち…つまりこの三つの部署、暗号、戦略、諜報の長たちが各々の部屋から飛び出して来た。 「ナルちゃん!」 「シーちゃん!」 「良く参った!」 ナイスコンビネーションで続けられる台詞に二人は苦笑しながら三人からの熱い抱擁を受ける。 暗号解析部の冬山トザン。戦術戦略部の秋森ミノル。そして諜報部の春川ナガレの老齢の三人は…いや、この三つの部署は二人の本当の姿を知っている。 それぞれ真実を知らなければならない部署故に、と言う理由もあるのだが二人が三代目に黙って時々お手伝いをしていたからに外ならない。 それにここの人達は二人を拒絶しないのだ。 「長、くるしいよ」 「あぁ、ごめんねナルちゃん」 むぎゅむぎゅと抱き着かれていたナルトが少しだけ苦しそうに言えば三人は名残惜しげに手を離す。地面に下ろされた二人はふぅっ、と小さく息を吐いて、次の瞬間にはにっこり満面の笑顔で三人を見上げた。 「俺達暗部になったよ!」 「ナニッ!?」 「本当かい?」 「本当ですよ。明日入隊式やるらしいので、今日ご報告に参りました」 「なんと…しかし良く火影様がお許しになったの」 「それはまぁ、ほら」 ちょいっ、とナルトが手刀を首に当てれば意図を汲み取ったらしい三人は苦笑しながら心の中で三代目に合掌したのは言うまでもない。 「それで?わざわざ私たちに暗部入隊の挨拶に来た訳では無いだろ?」 「流石諜報部の長。話しが早くて助かるよ」 瞬間、二人の顔色が変わった。 それは紛れも無く、大人の、忍の顔だ。 当然三人はそんな二人の変貌に驚くが…すぐに表情を仕事のソレへと変えて見せる。 「我が名は暗部白陽」 「同じく黒月。明日末日を持って先方らが所有せし長の座、譲り合けたく参じた次第」 「しいては里のため、我等にその席譲渡願いたい」 ザッ、と片膝をつき周囲をも圧倒する雰囲気を放つ幼い子供。 思わず休憩所で事の次第を見守っていた各部署員は身体を固くし膝をつきそうになる。 それは間違い無く、上に立つものの風格だ。 「……聞きたい。そなた等はここをモノにして、いかがする」 「里の未来を、確固たるものに」 頭を足れる二人の台詞に、三人の長はフッと笑みを漏らす。 「良いよ、持っていきな」 トザンの台詞に、パァッと二人は顔を輝かせた。 そしてぺこっと深く頭を下げる。 「ありがとうございます」 「いやいや、老兵は黙って去るだけ。これからは好きに使いなさい」 こうして、二人の暗部…いや、里を牛耳ろう作戦は始まったのだった。 全ては己の為、そして己の生きる意味を守るためにに。 END [戻る]
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