次の日の朝、私は昨日の夜やけに寝付きが悪く寝不足だった
寝る前にゲームをしたのが原因か?
何故だか嫌な予感がした

無事に午前中の授業を受け終わり、あっという間に昼休みになった
今日は寝起きも悪かったため昼ご飯はあまり用意出来なかった
昨日の残り物を詰め込んだ感じだ

「いただきま」
「ねえ」
「…?」

声をかけられた、と思い誰かなと周りを見渡すと碓氷くんと目が合った
彼と話す時は大抵声を遮られてる気がするのは気のせいだろうか
…そんなにまだ話したことないんだった

「…私?」
「アンタ以外に誰がいるの」
「あ、うん、そうですね」

昨日といい今日といい彼は一体どうしたのだろうか

「えーっと…何でしょうか」
「…アンタ、カレー好きなんでしょ?」
「うん、そうだけど」
「なら練習台になって」
「…は?」

そう言って碓氷くんが取り出したのは…スープ瓶に入ったカレー…カレー?
またこの人昼ごはんカレーなの?

「食べて、感想聞かせて」
「えっとどういうこと?」
「だから、食べて感想聞かせてって言ってんの」
「…なんで私?」
「…監督がカレー好きだから、今作る練習してる」

碓氷くん曰く、4月にストリートアクトとやらをしていた監督さんに惚れ込み劇団に入ったがなかなかアプローチが効かず、監督さんの好きなカレーを作って喜ばせたいそうだ
夜な夜な練習をするのはいいけど、量が多くて消費が大変になりお弁当として持ってきたら私がカレーを好きというので消費してくれ、また感想をくれとのこと
つまりその監督さんに食わせる前に私で試そうということか

「アンタ料理部入ってるんでしょ?だから舌も肥えてるかなって」
「いや、確かに料理部だけどさ…というかその劇団?の人たちに食べさせれば良くない?育ち盛りも多いでしょ」
「あいつらに食わせるくらいなら捨てる」
「なんで!?」
「なんか嫌だ」
「そ、そう」
「だから今日から試食して」
「…流石に毎日はキツイよ?」
「…わかった、週2でどう?」
「まあ、週2なら…」
「決まり」

こうして週に2回のカレーの日が私達の間で決定したのだ

「あ、カレー食べる代わりに碓氷くんアンタ、じゃなくて名前で呼んでよ」
「わかった、なまえ」
「う、うん…?(いきなり下の名前…?)」
「アンタ…なまえも俺のこと名前で呼んでいいよ」
「えーっと…?」
「真澄」
「碓氷く」
「真澄」
「…碓氷」
「真澄」
「…真澄くん」
「ん」

なんか名前やけにゴリ押ししてくるなうす…真澄くん
苗字より名前の方が好きなのか?
…それにしても朝の嫌な予感はこれだったのか
週2でカレー…うん、夜のストレッチ増やそう

嫌な予感は意外と当たる


この後真澄くんにめちゃくちゃカレーを食べさせられる
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