「おはようございますみょうじさん」
「おはよー天海くん」

寄宿舎の自分の部屋から出ると偶然天海くんと会った
今日も朝からとってもかっこいい

「?どうかしたっすか?」
「う、ううん、なんでもない!早く食堂行こ!斬美ちゃんの朝ごはん〜!」
「ははっ、御機嫌っすね」
「朝から斬美ちゃんの美味しい美味しい朝ごはんを食べられるんだから、テンション上がるのもしょうがないよ!」
「それもそうっすね」

爽やかに笑う天海くんと一緒に食堂に向かう
朝から天海くんと会えてラッキーだ

こんなにイケメンで完璧な人は今まであったことがないだろう、というくらい天海蘭太郎という人はかっこいいと思う
ふわふわとした金髪に近い薄緑色の髪に綺麗な瞳、まさにイケメンを体現したかのような容姿をしている

「あ、みょうじさんちょっと」
「ん?どうしたの?」
「少しじっとしてください」
「…?」

声をかけられて思わず立ち止まると天海くんは私の髪を触ってきた
な、何が起きているんだ…!?

「…よし、これでいいと思うっす。髪に寝癖がついてたんで」
「び、びっくりした…!急にどうしたのかと思ったよ」
「すみません、言ってから触ればよかったっすね」
「いや、大丈夫だよ。直してくれてありがとう」
「いえいえ」

突然触られたからびっくりしたけど、よく考えると寝癖がついたままだったなんて恥ずかしい…一応鏡は見てきたんだけどな…

「わざわざありがとね!」
「どういたしましてっす。でも寝癖ついたみょうじさんも可愛かったっすよ」
「恥ずかしいからやめてください…」
「照れた顔も可愛いっす」
「うあー…天海くんずるいよ…」

にこにこしながらこちらを見つめてくる天海くんに、私は火照った顔を見られないように顔を手で隠すことしかできなかった

イケメンってずるい、いや、天海くんがするからなのかもしれないけど

「天海くんそんな簡単に可愛いとか言っちゃダメだよー…」
「何でっすか?」
「いや、だからその…私も一応女の子なので、その、意識しちゃうと言いますか…」
「…それならこれからも沢山言うっす」
「な、なんで!?」
「みょうじさんに意識してほしいからに決まってるじゃないっすか」

いつもとは違うちょっと意地悪げな笑顔を見せた天海くんは、固まってしまった私の手を掴んで歩き出した

「な、なな、あま、天海くん」
「ははっ、何言ってるかわかんないっすよ」

思考回路がショートしかけている私は天海くんの言った意味を考えることで精一杯で、彼がとても楽しそうに歩いていたのは手を繋いでいたからだということに気づいたのは、食堂について楓ちゃんたちに指摘されてからだった

天海くんはかっこいい

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