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日差しが強く照り付けている。吹き付ける風は生温く、木陰とはいえジリジリとゆだるような暑さはなんとも言えない不快感を感じる。セミの鳴き声が辺りに響き、少し先に見えるグラウンドでは野球部の練習だろうか、カキーンという金属音がたまに聞こえて来る。

「あっつ…」
「あちい…」

思わず呟くと言葉が被り、汗が額から頬に伝う。何故こんな状況に、と思い返すもいまいちよく分からない。獄寺にちょっとついて来いと言われたからついて来ただけ。なのに隣のこいつは額の汗を拭い、目線はどこか遠くを見つめて黙っている。黙ってからかれこれ10分くらい経つんじゃないかな。そろそろ熱中症になりそうだ。

「ねえ、そろそろ連れてきた訳、教えてよ」
「…っ!………ちょっと待て」
「え〜…もう暑さが限界なんだけど」
「俺にも心の準備ってもんがあんだよ!」
「はあ、なら準備できてから呼んでくれよ…」
「…それはわりい」

獄寺が心の準備とやらが終わるまでに少しでも暑さを緩和したい。確か入れていたはずだと思い返して通学鞄をあさり、汗拭きシートを取り出す。男性向けに発売されているけれど爽快感の強いこのシリーズは気に入っているのだ。青いパッケージにはでかでかと体感マイナス2度!の文字が見えた。

「獄寺も使う?」
「使う」
「即答じゃんうける」

はい、と手元に差し出すとようやく目線がこちらを向いた。暑さのせいで少し火照る顔はなんだかいつもよりも大人びて見える。

「……俺、お前のことが好きだ」

ぽたり、反対の手で取り出したカルピスのペットボトルから滴が落ちた。セミの声が先程よりも遠く聞こえ、心臓の音が大きく耳に響く。

「…冗談?」
「なわけねーだろ。…去年から、ずっと、好きだった。…俺と付き合ってくれ」

なんてシンプルな告白。だけどその真っ直ぐさが獄寺らしい。最初の沈黙は緊張していたのだと分かると可愛らしいものね。いつもよりも緊張した面持ちでこちらを見つめるその瞳は相変わらず綺麗で、いつまでも見つめていられそうだなんて思う。その色を隣で見ることが好きになったのはいつからだっただろうか。

「…いーよ。私も、獄寺がすき」

ひとつ呼吸をして、同じくシンプルに返事をする。その言葉を発した瞬間に差し出していた手を取り勢いよく抱きしめられた。よっしゃ!と嬉しそうに言う姿は子供みたいで、いつもより年相応な反応に思わずつられて笑ってしまった。某CMのアオハルかよ、だなんてフレーズが頭を過ぎる。結局私はいつだってこいつの笑顔に弱いんだろう。…私の方がずっと前から好きだよばーか。

ワンライお題「告白」20200727
#復活夢版深夜の真剣創作60分一本勝負


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