あーーー暑い。溶ける。日本に来てから数年だったけどこの暑さになれることは無い。イタリアに戻りたいだなんて思いもしないけど、この季節はほんの少し、百億分の1くらいイタリアに戻りたいだなんて戯言を頭の中で考える。まあぜってー戻らねーけど。

「暑いねー獄寺」
「おー…」
「元気ないぞー大丈夫かー」
「そういうお前も机に向かって倒れてるじゃねーか」
「そーなんだよなー。めちゃ暑くてだるさがしんどい」
「せめて日本語で話せ」
「あいたっ、殴るこたないじゃん」

いつつ、と言いながら起き上がる名前。年中タフかと思っていたこいつも夏はやはりだらけるらしい。あのあほ牛でさえ今はぐったりしてあまりウザイことをしてこないレベルだ

「あー、暑い。なんでこんなくそ暑いのに学校きてんの私ら」
「あ?おめーのせいだろ、おめーの」
「え、わたし?」
「おめーが雲雀に仕事押し付けられたってリボーンさんに聞いたから手伝いに来てやったんだろーが。10代目からも頼まれたしな」
「え、なにそれ。わたしは獄寺が先生怒らせて課題いっぱい出されたから手伝って来いってリボーンに言われたんだけど」
「は?」
「ひ?」
「ふ?じゃねーよ!なんっだそれ、もしかしてこれは何かの罠か!?リボーンさんの名を語って俺らに喧嘩売ってるやつでもいんのか!?」
「いや絶対違うでしょ。100%リボーンのせいでしょこれ」

なぜ俺らが呼び出されたかは知らねーが特に用事もねーならこの教室でだらけなくて良いってことかよ。あー無駄な時間使っちまったぜ。

「おら、名前帰んぞ」
「ふぁーい」
「おいくっつくなあちいんだから!」
「獄寺の手冷たい〜ひんやり〜」
「おめーが暑すぎんだよ!体温どーなってやがる!」

座っていた席から立ち上がり教室を出ようとしたら名前が腕にまとわりついてきやがった。あちい。しかもおまえ、意識してるかは知らんが当たってんぞ。何とは言わんが

「おい、お前無意識か?」
「なにが?」
「……いい、気にすんな。それよりはよ離せこのやろ」
「やだーーあつい」
「だーーーっ引っ付くな!それ以上密着すんな!」
「てへ」

おいそんな無邪気な笑顔見せたって変わんねーよ。はやく離せ、じゃねーと俺の体温も上がっちまうだろ。くそ、この笑顔も拒めないし、何より名前の体温が伝わるのがちょっとだけ、ほんのちょっとだけ心地いいなんて、俺は絶対認めねえからな。ほんの少しでも考えがよぎってしまったのはこの暑さのせいだ。

「あーーーくそ、校門までだからな。学校出たら速攻離せよ」
「さすが獄寺ーーー!!話のわかるやつだ!!」
「腕掴むのはいいから強くすんなよ!いいな!?」
「任せてごっきゅん」
「だれがごっきゅんだキリッとすんな!」

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