小さな紳士くんと


段々と日差しが強くなってきた今日この頃。いつの間にか沢田くんと獄寺くん、そして山本くんは仲良くなってたみたい。3人でいるのをよく見かけるようになった。獄寺くんって実は優しそうだよね、猫とか好きそう。

「おはよう山本くん」
「おっす、おはようみょうじ!」

山本くんは今日も部活の朝練かな、毎日お疲れ様です。野球ってやるのは難しいけど、試合を見るのはわくわくするよね。

「あ、そうだ今度練習試合があってさ、俺スタメンで出られることになったんだ」
「ほんと?凄いね山本くん」
「ははっ、ありがとな!」

さすが期待の星!1年でスタメンって相当凄いことだよね?並盛中の野球部は強い、って聞くし尚更だ。すごいなあ

「それでさ、その試合が並盛中であるんだけど…良かったら応援しにきてくれね?」
「え、いいの?わたし野球観戦好きなんだ。わたしで良ければ応援させて欲しいな」
「ほんとか!?めちゃくちゃ嬉しい」

やったぜ!と喜ぶ山本くん。確か打つのが上手いんだっけ?試合楽しみだな

「試合は来週の日曜日、9時からだからよろしくなのな!」
「うん、わかった」

差し入れか何か持っていこうかな、野球部の人数とか確認しておこう。





ひなたちゃんに相談してみるとはちみつレモンはどう?と言われたのでそれにする事にし た。野球部の人数も把握してるなんてひなたちゃんすごいな、本人曰く人脈は大事よ!らしいからきっと色んなパイプを持っているのだろう。

「はちみつは確か少なかったし…うん、買い物に行こう」

ついでに山本くん用にカップケーキでも作ろうかな…あとひなたちゃんや沢田くんにも。買い物に訪れた並盛スーパーはここら辺で1番大きなスーパーだ。ここなら色々買えるよね

「はちみつと小麦粉、それと…カップケーキって何味がいいかな」
「定番にプレーンとチョコでどうだ?」
「あ、いいかも。2種類あったら選べるし」

よし、そうしよ。じゃあココアパウダーと、
あとはチョコチップかな。…あれ、わたし今誰と話してたっけ?

「ちゃおっす」
「…?」

周りを見渡しても誰もいない。おかしいな、と思ってふと下に目線を下げてみるとそこにはスーツを着た…赤ちゃん?小さい子供?がいた。しゃがみこんで目線を合わせ、とりあえず挨拶してみることにした。

「こんにちは。君すごく話すの上手だね」
「俺はマフィアだからな、上手くて当然だ」

マフィア…っていう設定なのかな?洋服もよく見たら黒のスーツでビシッと決めてるし、とても素敵なファッションだ。小さなハットもよく似合っている。子供って可愛いなあ

「お前、みょうじなまえだな?」
「うん、そうだけど…なんでわたしの名前を?」
「ツナのクラスメイトだからな。アイツの交友関係は把握してるんだ」

沢田くんの知り合いか、なんか納得かも。沢田くんって人を惹きつける魅力があるよね。パッと見でわかるのは難しいけど、関わるとわかる、穏やかでとても優しい、陽だまりのような雰囲気がわたしはとても好ましいと思う。

「ツナのことをそう思うとは、お前センスがあるな」
「…口に出してた?」
「いや、俺は読心術が使えるんだ」

読心術…マフィア設定なら当然?なのかな。詳しくないからわからないけど……今時のこどもってすごいね





買い物を手伝ってくれた彼はリボーンくんと言うらしい。沢田くんの家庭教師なんだって。何を教えてるのか気になる…やっぱりマフィアのこととか?

「手伝ってくれてありがとうリボーンくん」
「マフィアは女に優しくするもんだからな」

誇らしげに言うリボーンくん、小さいのにしっかりしてるなあ。

「お家まで送ってあげたいんだけど…わたし沢田くんの家知らないんだよね」
「1人で大丈夫だぞ」
「そう?じゃあまたね、リボーンくん」
「またな、なまえ」

ちなみに彼はイタリアから来たらしい。やっぱ外国の人って成長も早いんだね。知り合いにいないからよくわかんないけどすごいなあ、人類のふしぎだ。沢田くんの知り合いだったし、また会えるかな

「すぐにまた会えるぞ」

ニヒルな笑顔と共に、リボーンくんがそう言っていた事には気づかなかった。

 

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