アジトを作りましょう


今日は週に一度の保健室当番の日。保険委員は昼休みや放課後を順番に当番で回しているのだ。わたしは水曜日の放課後が担当になっている。

「やあ、なまえ」
「こんにちは雲雀先輩。今日はどこを怪我したんですか?」

雲雀先輩は常連さん。毎週保健室に来るほど、頻繁に怪我をしてるみたい。

「今日は足だね。久々に少しやらかしたみたいだ」
「出血もですけど、少し腫れてますね…一体どうやったらこんな怪我するんですか」

傷口を消毒しながら先輩に問いかける。あ、砂利が入ってたこれは痛かっただろうな

「なんてことない、ただ風紀を乱している奴らが居たから咬み殺してきたんだよ」
「風紀のお仕事、大変そうですね」
「そうでもないさ、それに僕はこの仕事を楽しんでいるからね」

真面目な人だな、雲雀先輩

「はい、できました。今日は安静にしていてくださいね?また明日にでもガーゼの貼り替えをしに保健室に行ってください」
「ああ、わかったよ」

またね、と言って雲雀先輩は去っていった。さて、わたしも残りの仕事を頑張ろう…あ、日誌書くの忘れてた。





次の日の昼休み。いつも通り、日誌を保健室にいる次の当番の人に渡してから教室に戻る。今日のお昼ごはん、どうしようかな

「あ、なまえちゃんおかえり!あのさ、良かったら今日一緒にご飯食べない?」
「え、いいの?」
「もちろんだぜ!な、獄寺」
「あ?10代目が誘ったんだ、一緒に食うのは当たり前だろーが」
「ふふ、ありがとう」

今日は風邪でひなたちゃんがお休み。1人でお昼ごはんだな、と思ってたから誘えてもらえてよかった

「ひなたちゃん風邪早く治してね、っと」
「お、メールか?」
「うん、見れるかは分からないけど一応ね」
「おい、お前ら早く行くぞ。10代目を待たせるんじゃねえ」
「行くって…どこに?」
「今日は天気がいいからさ、屋上で食べようかなと思って」

あれ、屋上って…確か立ち入り禁止じゃなかったっけ?まあいっか、外で食べるのは気持ちよさそうだし





「うわー!すごい気持ちー!」
「確かに屋上って気持ちーよな!」
「なまえちゃん、屋上入るの初めて?」
「うん、初めて!」
「それにしてもテンション高すぎだろ」

学校の屋上って憧れてたんだよね、風が気持ちいい…!こんな所でお昼ごはんなんて贅沢だな

「もう秋になってきたなあ」
「そうだね。夏休みもあっという間に終わったし、なんだか寂しいな」
「補習ばっかだったしな、俺達」
「アホ牛が最近ブドウブドウってウザくないっすか?」
「栗もうまいぞ」
「いたっ、いだだだ!!」

秋といえば食欲の秋だよね。あ、読書の秋もいいかも

「リボーンだな!?」
「ちゃおっス」
「あ、リボーンくんだ」
「お前ら元気そうだな」
「痛い痛い刺さってるから!」

トゲトゲした被り物を着ているリボーンくん。栗のカモフラージュだって。すごい、どうなってるんだろ

「だいたい、学校に出没するなって言ってんだろ!?」
「まあまあ、綱吉くん落ち着いて。リボーンくんも何か用があるんじゃないかな」
「流石だななまえ、今日はお前らに話があってきたんだぞ」
「話ッスか?」
「ああ、ファミリーのアジトを作るぞ」
「はあ!?」

マフィアごっこの続きかあ。アジトってなんかそれっぽいね

「へー、面白そうだな!秘密基地か」
「アジトいいじゃないっすか!ファミリーには絶対必要っすよ!」
「楽しそうだね」
「え、ちょ、」
「決まりだな」

リボーンくん曰く応接室が最適だそうだ。獄寺くんと武くんは机の配置について話してる
獄寺くんって右にこだわりがあるのかな。

「なまえはどこがいいんだ?」
「うーん…室内を見てから決めようかな」
「ちっ、テメーは端っこで十分だ」
「端っこって何だか落ち着くよね」
「そういう意味で言ったんじゃねーよ!」
「皆何でそんなに乗り気なのー!?」





応接室に向かうのは放課後。急に先生から手伝いを頼まれたわたしは皆よりも遅く行くことになった

「随分遅くなっちゃったな…」

階段を駆け上がり急いで応接室を目指す。あまり行く場所ではないから少し迷いつつも無事にたどり着いてドアを開ける。

「遅くなってごめんね!…ってあれ、雲雀先輩?」
「ワオ、なまえじゃないか」
「なまえちゃん!って、えええ!?ま、まさか2人とも知り合い…?」

何故か室内に入ると雲雀先輩がいて、奥には獄寺くんと武くんが倒れていた

「2人ともこんな所で寝てる…せめてソファで寝ればいいのに」
「どう見ても寝てないよね!?」

え、だって目閉じてるよ?二人とも呼吸はしっかりしてるし、寝てる…よね?

「…この草食動物達は君の知り合いかい?」
「あ、はい。友達です」
「そう…なら今日は見逃してあげていいよ」
「良かったなツナ、なまえのお陰で助かったぞ」
「そういう問題じゃないだろ!?」

よく分からないけど、とりあえず何で雲雀先輩がここに…?

「あ、もしかして…ここって雲雀先輩が使ってたりします?」
「そうだよ、ここは今年度の風紀委員会の割り当てられた部屋なんだ」
「なるほど、だから雲雀先輩がここにいたんですね」

リボーンくん知らなかったのかな、ここが使えないってこと。そう考えていたらいつの間にか皆居なくなってる。置いていかれちゃった。残念だけど、アジトはまた次の機会ということなのかな。

「せっかく来たんだしゆっくりして行くかい?昨日貰った菓子があるんだけど」
「え、良いんですか…!」

そう誘われて雲雀先輩とお菓子を食べたわたしは、リボーンくんがわざと皆を鉢合わせたという事を後日知ったのでした。

 

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