銀色くんのお姉さん
「おいみょうじ、今から10代目の家に行くぞ」
「…え?」
突然獄寺くんからの電話がかかってきた、と思ったら綱吉くんの家に行くらしい。
「ちょっと待って獄寺くん、わたし綱吉くんのお家知らないよ」
「チッ…あー、じゃあ学校まで出てこいオレが迎えに行ってやるから」
「ありがとう、お願いします」
「ったく、なんで俺が…」
学校で待ち合わせた獄寺くん曰く、リボーンくんが綱吉くんの家に来るならわたしも連れてこい、と言ったらしい。
「お前の為じゃなくてリボーンさんの為だからな、しょーがなくだ」
「それでも迎えに来てくれるなんて、優しいよね獄寺くん」
「んなことねーよ!いいからさっさと歩きやがれ!」
獄寺くんはツンデレさんなのかな?こういう人ほど実は優しいんだよね。そう思うとちょっとにやついてしまった。
*
「いいか、ここが10代目の家だ。もう覚えたな?」
「うーん、多分」
「多分かよ…もういい、行くぞ」
「はーい」
ピンポーン、とベルを押すと綱吉くんが出てきた。
「ちはっす10代目!」
「こんにちは綱吉くん」
「ご、獄寺くんになまえちゃん!どーしたの?」
「このスイカ一緒にどーすか?めちゃくちゃ甘いらしいんすよ!んでコイツはリボーンさんが呼んだので、仕方なくオレが連れてきました」
「お呼ばれしました」
このスイカは商店街の八百屋さんに買い物に行った時にサービスで貰ったのだ。カップルと間違えられたのは面白かったなあ
「えっと、す…すごく嬉しいんだけどさ、今ちょっといろいろ取り込んでて…」
「!!トラブルっすねなんなら俺がカタをつけますよ」
「え!?…あー、その…実は今…」
あれ、なんだかすごい美人さんがリボーンくんと一緒にいる…あの人誰だろう。あ、綱吉くんのお母さんとか?それにしては若いよね
「っ!?」
「うわっ!獄寺くんスイカが…!」
「どうしたの?獄寺くん」
何故か驚いた獄寺くんが手に持っていたスイカを落としてしまった。せっかく貰ったスイカが割れちゃった…これまだ食べられるかな?
「あ…アネキ!!」
「え?」
「あら、隼人」
「…え?」
突然、ぐぎゅるるるというすごい音と共に獄寺くんがお腹を抑えて崩れ落ちた。
「獄寺くん大丈夫?顔真っ青だよ?」
「うっ…す、すみません10代目…失礼します!」
「ちょっ…獄寺くん!?」
「綱吉くん、わたし獄寺くんを追うね!」
「あ、なまえちゃんまで!」
大丈夫かな、急にどうしたんだろ…まさか、お昼ごはんになにか悪いものが…!?
*
獄寺くんを見つけた後、とりあえず木陰に移動させて水を渡した。これでもわたし、保険委員なんですよ。
「獄寺くん落ち着いた?」
「ああ…すまねえ…ハァ」
「獄寺くん…!」
心配だったのか綱吉くんも追っかけて来たみたいだ。
「獄寺くんごめんねスイカだめになっちゃって…」
「ぜ、全然大丈夫っす…」
そうして落ち着いてきた獄寺くんは、お姉さんと自分の幼少期について語り出した。というかあの人獄寺くんのお姉さんだったのか…!道理で美人なはずだ
「…こんな事があって以来、今ではアネキを見るだけで腹痛が…」
「うすうす感づいてたけど、強烈なお姉さんだね…」
「ええ大嫌いです」
「美人さんなのに勿体ないね…」
「お前はあの恐怖を知らねえからそんな事言えんだよ…」
ポイズンクッキングかあ…人は見かけによらないんだね。
「オレはアネキに近づけません。10代目…アネキをこの町から追い出してもらえないでしょうか」
「ええ!?」
なんだか知らないうちに作戦?とやらが決まったみたいだ。元彼さん、綱吉くんの知り合いなのかな
「この人イケメンさんだね。お姉さんと美男美女ですごくお似合いだな」
「…お前こんなヤツがタイプなのか?」
「え、そうなのなまえちゃん!?」
「…?」
「いや何でもねえ…今のは忘れろ」
「うん…?」
*
「そーだったんすか…」
「うん…」
「なんだか大変だったんだね」
昨日作戦を決行したみたいけど見事失敗に終わったらしい。強い女の人ってカッコイイよね
「そーいえばたしか元彼の死因ってたしか食中毒と聞いたことが…」
「なっ…!」
「…2人とも顔色悪いよ、大丈夫?」
その数日後、綱吉くんの家に遊びに行った時にお姉さん、もといビアンキさんと仲良くなる事が出来た。2人には悪いけど作戦が失敗して良かったな、なんて思ったり。
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