その日、僕がカラクサタウンにいたのは偶然だった。
ゲーチスが演説に行くと言うので、気晴らしに着いていった。確かその頃はダークストーンの情報を掴み、本格的にイッシュ再建国を目指す王として戴冠式を済ませた時期で、プラズマ団の内部は異様な熱気に包まれていた。そんななかにいるのに少し疲れて、城の外に出たのだ。そして、君に会った。

僕は驚いた。
君のツタージャは、君がすきだと言っていた。君に支配され、使役されていても一緒に居たいと、君のために戦っていた。バトルを通して君を理解しようとしていた。信じられなかった。有り得ないと思った。そしてその声が届かないツタージャが、届かない君が可哀想だと思った。だから何度もバトルを仕掛けた。ポケモンの声がもっと聴きたかった。君達の真意を確かめたかった。

けれど僕も長年信じてきた理想があった。簡単に考えを変えること何て出来ない。もう、トモダチが苦しむ姿なんて見たくなかった。理想の世界はもうすぐだったのだ。ポケモンが人間に縛られることのない理想の世界。それこそがポケモンの真の姿、完全な姿だ。

だけど僕自身、そんな世界に矛盾を感じていたのかもしれない。だから君に正体を明かした。止めてみろと唆した。そして同じ英雄として対峙し、真実を賭けてバトルをしてみたかった。


いや、僕にそう思わせた時点で勝負は決まっていたのだろう。
僕は君達の仲を引き裂きたくないと、きっと何処かで思っていたんだ。







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