僕たちは何とかアジトに辿り着いた。
ゲーチスは団員に連れられ治療に向かった。床に点々と赤黒い血が落ちている。じっとそれを見ていたら背中を押された。僕は別の団員に僕のものだという部屋に連れていかれた。

パステルカラーの床と壁紙。所狭しと置かれた玩具。まるで部屋自体が玩具箱のようなその部屋が僕の部屋だった。着いてきていたポケモン達も部屋の中に入っていく。その中にやはりヨーテリーの姿はない。

「ねえ、ヨーテリーがいないんだ」

案内をしてくれた団員に訪ねたら、彼は困った顔をした。

「どうかお諦め下さい。あの炎のなか生きて逃げられたとしても、我々が探しだせる可能性は薄いでしょう」


腕の中のチョロネコが飛び降りる。後ろ足をひょこひょこさせながら部屋を探索している。新しい環境に興奮しているのだろう、尾がぴんと立っていた。


「これも、愚かな人間達のせいなのです」

「………」

「しかし貴方様はその様な愚かな人間達からポケモンを解放できるだけの能力があります。お分かりですね?」


そう言って、団員はパステルの床に膝を着いた。ゾロアが、どうしたのと言いながら足に擦り寄ってくる。そんなゾロアを抱き上げ、僕は小さく呟いた。


「……ヨーテリーは、やっと僕のこと、トモダチだって言ってくれた、のに」


ぽろりと涙が溢れた。今頃どうしているだろう。やっと僕を、人間を信じてくれたヨーテリー。今もまた、裏切られたと泣いているのだろうか。

「ポケモンに、酷いことする人間は、みんな、大嫌いだ」

なかないで、どうしたの、ゾロアが頬の涙を舐める。ざらついたその温もりを、二度と失わないと誓った。





今回の出来事によって、ゲーチスは僕がポケモンの声を聴けること、僕が英雄であることの証が必用だと思い至った。解決策は直ぐに見つかった。英雄と心を通わせ、イッシュを建国したという伝説のポケモン、ゼクロム。ゼクロムを従え新たなイッシュ建国を叫べば、人間は簡単に僕を英雄だと信じるだろう。

ゲーチスはプラズマ団を全国各地に散らばらせ、ゼクロムの情報を探し始めた。探す傍らに、ポケモン解放を訴えるプラズマ団の活動も忘れずに行ってきた。



そして月日は流れ年が過ぎ、遂にその日が訪れるというその直前に、僕は君に出会った。





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