「…、かえる?」

「まずカノコタウンでベルに抱きつかれてチェレンに説教くらって、その後リーグに行ってアデクさんに怒られる。で、みんなにお帰りを言ってもらうんだよ」


Nを強引にゼクロムの背中に乗せると、レパルダスがちゃっかりと一緒に飛び乗る。ブラックが頼むぞ、とゼクロムを見上げると、頭の良い伝説のポケモンはイッシュに向かい一声鳴いてみせた。

「で、でも、」

「でももだっても却下。いくぞ、ケンホロウ」

負けず嫌いのケンホロウはゼクロムに対抗するかの様に一鳴きし、翼を広げる。ブラックは風圧に負けじと声を張り上げた。



耳に聴こえるだけでは意味がない。言葉を伝えあったって、そこに込められた真実を理解しなければ、相手の気持ちは解らない。
人一倍不器用な彼に、この言葉の真実が届くように。ブラックは空に向かって叫んだ。


「一番最初のお帰りは、俺が言うから覚悟しとけよ!」


声は確かに空気を震わせて、Nの心に響いただろう。ありがとう、そう唇が小さく動いた気がした。






ただいままでの話。
(あと、出掛けるときはさよならじゃなくて行ってきますだから)





N様しあわせ計画
2010/09/23

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