nikki | ナノ


 屍の上に立っている。手には黒い刃物のようなものが握られており、たしかこれは昔にいた忍者の道具だったような、そんな記憶がある。わたしの手には刀傷があって、血管がドクドクの脈を打って下にある屍に流れおちている。男の太い声が木霊している。人が倒れる音がする。きっとこのままじゃわたしは出血多量で死んでしまうかもしれない。
「何をしている」
 傷がある手首を強く握られた。傷の入り口に籠手が入ってじんじんと傷んだが、前の人に文句を何一つ言うことができない。なぜだか、ひどく安心しているのだ。
「なぜ手当をしない。お前ならこんな傷を手当するの、慣れているだろう?死ぬぞ。」
 籠手についた血を拭おうとはしない、目の前の男は紫と銀が似合う、男だった。
「冗談を言っている場合か貴様。おい、誰か、手ぬぐいを貸せ。」




 ……また、夢を見た。重い身体を起こして、テントの外にいる見張りの兵士に声をかけた。どうやら敵はいないらしい。ほっとしてテントの中に入り、ランプをつけて銃の手入れを始めると、外の兵士が、明かりを抑えろと、手ぬぐいを口元に巻いてくぐもった声で小さく呟いた。テントの出入り口で、そっと「誰かいるの?」と訊くと、わからん、と言って銃を鳴らせて立ち上がる。

 この戦、わたしたちの不利だった。すぐに作戦隊長が射殺され、通信兵も3分の1が殺されてしまい本部からの連絡手段が途絶えてしまった。現在残っている通信兵も肩に銃弾が埋まったり、足を斬られて動けなくなってしまって本来の役割ができなくなったり、状況はとても、ひどい。

「はっ、ご無礼を」
「いや、いい。それよりも今の状況を教えろ。」
「動ける通信兵は2人、少佐の草田隊長は射殺されました。武器は一通り確保してあります。食糧は3日分はあるかと。動ける歩兵は38人、現在治療を受けているのは15人であります。」
「……今いる最高階級は」
「大尉ですが、重症で…、もうそろそろ…」

 仲間のようだ。ランプにかけた黒い布を外してテントを開けると、帽子をかぶって帯刀をしている銀色の髪を持った中佐が凛とした表情で立っていた。「女か」と言った中佐はわたしから目を外し、屋根のある机に向かっていった。見張りの兵士と一緒に中佐の跡を追うと、中佐は椅子へ座り「敵陣地へと潜入する勇気のある者はいるか」と訊いてきた。わたしは何度か敵地へと潜入したことがあるが、今回の状況でそれに声を上げる勇気を持ち合わせてはいない。

「少尉、お前青田と潜入経験あったな」

 見張り兵士が余計なことを言ってしまい、中佐の目線はわたしに注がれる。中佐を前にして情けないところを見せるわけにもいかないし、ましてや願いを断るなど、わたしには絶対にできない。

「挨拶が遅れた。私は第3師団特攻隊部隊長、石田三成だ。階級は見てわかる通り。貴様は敵地へと潜り込む勇気はあるか?」




っていう感じのを書きたい……書いてみたいな!!!!口だけだと思います!!!!
凛とした三成くん