特別 | ナノ







未来設定
蔵謙とだれか×ユウジの話



「あんなぁ、俺自分が男しか好きになれんって気付いたんって結構物心ついた時からやねん。てかまず女子嫌いやったしな。え、なんでってキモいやん。あの女子特有の匂いとか、やわこそうな体とか。えー、まぁええやん、言いたいとこそこやないねん。んでな、俺ずっとタチで、あ、タチって突っ込む方な。まじ入れられんのとか無理やってん。いやでも、人生ってどうなるかわからんよな、あいつに会って初めて思ったのが、あ、こいつに抱かれたいって事なん。そんで初めてそいつとヤッた時もう信じられん位気持ちええねん。頭真っ白でもうその時認識出来たのってそいつの事がめちゃくちゃ特別だって事だけやねん」



今日久々に会った級友はなんとも居酒屋で話すような事でなさそうな事をマシンガンのように話して、俺明日からニューヨークやねんと上機嫌に話して帰っていった。
自分も明日は久々の恋人と重なった休みで、見たいって二人で言ってたDVDを今夜見る予定なんだ。

「白石、ただいま」
「おー、早かってんな。ユウジ元気やった?」

白石がリビングのソファでくつろいでいる。
ニコニコ笑う顔は歳を重ねても変わらずきれいだ。
そんな白石をみて今日ユウジ話した事を思い出す。
自分にとってその恋人が特別なんだとはにかんで話してた顔はあいつが嫌悪している女のそれと同じだったように思う。
特別か。
白石、特別、だって。
なんだか笑ってしまうなあ。

そのままぎゅうと抱きつく。
ずくりと自分の中で情欲が燃えていく音がする。
DVDは明日でいいか。
本当はずっとユウジと話していた時から感じていたんだ。

ああ、俺だってこの男にしか抱かれたくないよ。

「白石、」

そのまま白石が着ていたスウェットに手をかけた。
早くこいつの下でユウジの言う特別ってやつを感じたい。