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沖田どうやって死にたい?
「…頭沸いたんですかィ?」
つまらない授業の途中、隣でペンを回す沖田に尋ねてみた。
もちろん変な顔をされた。
いや、だけどわたしも何の考えも無く言ったわけじゃなくて思うことがあって言ったのだよ、沖田くん。
「昨日読んでた本でね、主役が最後恋人と海に沈んで溺死したの。でも溺死って苦しいよなー、と思って」
「それで何で俺に聞くんでさァ」「参考までに…」
「アホかお前は…」
明らかに呆れた顔をしている沖田に何だか自分が情けなくなってくる、どうしてだろう。
そういえばさっきわたしは、思うところがあって…、なんて言ったけど実際は授業が退屈だから話しかけただけだ。
しょうもないな、あははは。
ふ、ともう一度沖田の方を見てみるとじっと外を眺めて何かを考えているようだった。
ああ、まったく暇潰しにもならないことを聞いてしまったな。
(あ、あと10分で終わる)
仕方なく板書でもしようかとシャーペンを手に取ると、小さく声が聞こえた。
「なあ、アンタ殺されるならピアノ線で首絞められんのと全身の筋順番に切られんのと、どっちがいいですかィ?」
「げっ…」
「どっち?」
にやにやと笑いながら聞いてくる沖田の質問は相当サディスティックなもので、わたしは少し引いた。
ていうか想像したら怖くて何も言えなかった。
「他にも、ありやすぜ。水ん中に顔を無理矢理突っ込むとか生きたまま火つけるとか」
「もももうちょっと苦しくないの無いの!本気で背中が寒いんだけど」
「苦しくないやつ、ですかい?……ああ、そうですねィ」
一瞬何かを考えたかのような顔をした沖田だったけど、すぐにさっきのにやにやした顔にもどった。
思いついたことでもあるんだろう、――沖田の顔が近くなる。
「は……?」
微かに触れた唇、すぐに離されたのに熱を持ってる。
今は授業中、一番後ろの席と言ってもこんなこと理解できないだろう、うん。
「おお沖田、」
「キスで窒息死」
「え?」
「最高の殺され方だろィ」
仄かに桃色に変わった沖田の頬が目に入った。