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誰かをただ損得無しに愛してるってだけで想い続けることを一途だって言うなら、俺はとても一途とは言えない。
愛した女なら振り向かせる、愛してくれと願われたなら愛してやる。他の何を犠牲にしても手に入れるし、どんなに羨まれても必要なければ捨てる。

な、俺ってとってもイチズだろ?
そういうことじゃねえの?
辞書ひいてみ?一途って一つのことを思うことって書いてあっから。俺は自分自身にイチズなわけよ。わかる?

「理想と違ったからって被害者ヅラすんのはどうかと思うぜ」
「被害者じゃなかったら何なのよ・・・こんな部屋に監禁してあなた犯罪者よ、銀時」
「あー、違う違う。これは彼女が彼氏の部屋にいる、だけだからさ。監禁じゃありませーん」
「じゃあたった今あなたと別れる。わたし達もう他人よ、帰して」
「そんなこと俺が許すわけないだろ」

コイツの空気が強ばった。おかしいな、俺今最上級の笑顔を向けてるつもりよ?
そんなあからさまに怯えられると傷つくだろ、なんて。

「銀時、わたしあなたのこと誤解してた。あなたは狂ってる」
「ハハ、何を間違えたって言ってんだよ。
お前言ってただろ、一途な人が好きだって。俺はこんな一途じゃねーか」
「違う、そんなんじゃない」
「そんなだよ。違うのはお前だ」
「わたしは銀時にこんな気持ちを望んだわけじゃない」

そう言って俺を睨み付けるコイツを見ていたら笑いが込み上げてきた。ハハ、ハ、望んだわけじゃない?馬鹿じゃねえのか。
どうして俺がお前の望むもの与えなきゃいけねえんだ。俺が何かを望みこそすれ、お前にそんな権利はない。
残念だったな、お前は俺のもんだ。だから大事に大事に俺流の愛し方で愛してやるよ。
残念だったな、お前が俺に人並みのものを求めたのが間違いだ。綺麗な愛なんて見たこともなくて吐き気がする。

「お前も結局同じだよ。今までの女と。でも何でだろうな、それでもお前のことは嫌いじゃねえよ」
「じゃ、じゃあここから出してよ」
「―――悪いな」

スラリと伸びた俺の両手はコイツの首元を包む。ヒッ、と女が小さく呻き喉がコクリとなったのが手のひらに伝わってきた。
ゆっくりと力を入れていくと歪む顔の目尻に涙が溜まり始めた。なあ、苦しいか?

「どうすれば俺は普通の奴等みたいな愛し方できるのかって考えてみたんだよ」
「でも気づいたんだよな。俺にはそんなの無理だってことに」
「今だって俺を怖がるお前はいらねえって思ってんのに、他の奴のものになるお前を見たくねえんだよ」

ダラリ、とコイツの力が抜けて俺は手を離した。
うっすらと手形が残る首もとにキスをして涙を拭うと少しだけ胸が痛んだ。ああ、もう生きてるコイツには会えないんだっけか。
確か、俺はこの女を愛したから愛してほしかったわけで。
求めるものをくれない女はいらないって捨ててきたのに、コイツだけはどうも捨てられなかったわけで。
もっと俺がまともな人間なら良かったのかって思わないこともない。だけどようやくこれでお前を手に入れたんだよな。

「なあ、・・・・一途だって言っただろう」

ポツリと呟くとどうしてだろう、頬を何かが濡らした。
ああ、俺ァ結局お前を手に入れたいっていう自分にイチズだっただけだ。ただ愛してるてっだけでこんなにお前を想い続けて、挙げ句の果てに殺してしまったんだから。
ああ、それなら何かがおかしい気がする。確か俺は最初に、
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