ハナサキ | ナノ

※教室での話

「食らえ謙也ー!消しゴムアターック!」
「うわっ、何してんねやお前。消しゴム勿体ないやろアホウ!…て、どんだけため込んどんねん!」
「フフフ、この日のためにわたしはこの一週間、全授業を費やして消しゴム切り刻んでたんや。その数、一億個!」
「一億個?!」
「あったらいいのにな〜」
「願望かい!…ちょお待ちいや。それって最近俺がなくしたキン肉マン消しゴムと何らかの関わりが…」
「消しゴム足りひんかったで貢献してもろたで!ありがとう謙也!」
「ボケお前、あれ、限定品の…」
「限定モノってそそられるわ〜。わたしも限定一個やで謙也。買うなら今のうちだゾ」
「ほんなら俺も限定品やタコ!」
「はあ?嫌やわ謙也が限定品やなんて。こんなしけた金髪の限定品なんて誰もいらんわ〜」
「金髪馬鹿にすんなや!なあ白石、俺の金髪しけとらんよなあ!」
「ん?ああしけとらんしけとらん。それより俺予習しとるで邪魔せんといてな」
「うっわ適当!お前やらんでも頭ええんやから出来るやろ!」
「そうやそうや、やらんでも出来るやろ!あとで写させてな蔵」
「お前はやれや。ていうか話ずれとんねん、消しゴム返せ!」
「ん?何やその話は。昔のことは思い出せませんなあ」
「ほんましばいたるわ!」
「させるか、消しゴムマシンガーンッ!」
「うわっ」

「すんませーん、謙也さんおりますかー?」

「ん、財前?」
「ヒィッ、財前やと?」

教室の扉付近に突如、財前光が現れた。何でや、あいつ二年やのに三年の階におんのおかしいやろ。
しかも、謙也んこと呼んどる。わたしは思わず、蔵の机の下に潜った。

「ちょ、何やっとるんや花」
「堪忍!今、生命の危機なんや」
「意味分からんわ、邪魔すんな言うたやろ」
「いだっ…この鬼!従兄弟甲斐のないやつやわ!もう蔵の家のありとあらゆる箸折れろ!」
「何やと!箸折れてもうたら飯食われへんやろ、俺が餓死したらどうすんねや!想像するだけでこっわ!」
「いっそ本望や!」
「今日、家帰ったら真っ先にお前の箸折ったるわ」
「それよりも早く蔵の箸を折ったるわ」
「いやさらに早く…」

「うわー、教室でもやかましいんすね。お二人は」

「何やと?蔵といっしょに……うえっ、財前!」
「うえっ、て失礼ですわ」
「何でおるのん、あんた。ここ三年の教室やで?飛び級か、飛び級したんか」
「アホなこと言わんでくださいよ。謙也さんに貸しとったテキスト返してもらいにきただけや」
「なら即帰れ、わたしに関わることなく帰れ。ドンドンドドドンかっえっれっ!」
「変な応援歌止めてくれません?だいたい俺が帰るか帰らんかは先輩には関係ありませんわ」
「ある、大いにある!わたしはお前の姿を見るだけで嫌なんや!」
「へえ…まあかまいませんけど。あんたに好かれようが嫌われようが」
「ならあれや、行ってよし」
「ただ先輩…部室に置いとったCD全壊したんは謝ってもらわななあ」
「ギクッ…いや、わたしは知らんで」
「あからさますぎやわ、花」
「蔵うっさい!と、とにかくわたしは謝らんからな…あんなとこに置きっぱしとった財前が悪いんや」
「認めとるやんか」
「うっさい言うとるやろク・ラ!」
「花先輩」
「何や!」
「弁償してくれはりますよね?」
「…謙也!」
「おおう、何や」
「わたしは今この瞬間から腹痛や、ええな」
「?…って花お前どこ行くんやおい!」
「弁償する金なんてないわ、ボーケカース……アディオス!」
「あ、ちょお待ち先輩!」
「花、お前五限は」
「腹痛や言うたやろ!それと謙也!」
「何や!」
「その消しゴムさんたちは誰にも譲らんからな」
「いらんわ!財前、俺の分も花しばいたってくれ」
「分かりましたわ」
「そうはいくかアアア!」

ダダダダ



「よーし出席とるでー…って、白石女はどうしたんや」
「腹痛という名のサボりでーす」
「よーし分かった、あいつ今度の授業ん時教卓の上で尻文字書かせたるわ」

結局財前には捕まって金をふんだくられました。

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