ハナサキ | ナノ

※バーベキューしちゃうぜな話


(某日の、競馬場)

「ん…え、ちょ、これ来たんちゃうか…?来た来た来た!そんまま逃げ込め………っしゃー!万馬券やー!」
「ハッハッハー!久しぶりの大当たりやで!」
「うーん、せっかくやし、たまにはあいつらにいいもん食べさせたろか〜」


(そしてその日の部活後)

「はあ?バーベキューする?」
「せやで〜、喜べ青少年ども!」
「え、それはオサムちゃんの奢りなん?オサムちゃん、何や悪いことでもして金稼いだんか」
「今ならまだ自首できるで!」
「白石も謙也も、自分ら俺を何やと思っとるんや…万馬券当たったからいいもん食わせたろうっちゅう監督の粋な計らいやん」
「なーんや、そういうことかい。ほな遠慮せんとぎょうさん食べれるわ」
「せやな。ほなみんなにも教えたろか。…おーい、自分ら。今日オサムちゃんがバーベキュー奢ったるってー!」
「は?」
「な?」
「え?」
「ちょ、オサムちゃん!銀行強盗はしたらあかんやろ!」
「…何でうちの部は部員もマネージャーも揃いも揃って…」
「じょ、冗談やん。な。バーベキューうれしー!な!」
「せやせや、嬉しいでえ。なあ小春?」
「そ、そうやねユウくん」
「……ぐすん」
「やったー!牛さんぎょうさん食べれるんやー!」
「…金ちゃん…!」
「オサムちゃん、金ちゃんばおってくれてよかったたいね」
「…うん」


(そしてバーベキュー開始)

「おーい、この肉もう焼けてんで〜」
「ワイが食べるー!」
「こら金太郎、ちゃんと野菜も食べなあかんやろ!」
「白石、金ちゃんのお母さんみたいばい」
「小春、あ〜ん」
「ユウくん、あ〜ん」
「銀、魚の骨取るんうまいなあ」
「むん…綺麗に食べるんが、魚への礼儀っちゅうもんや」


「魚魚さかなー、さかなーをー食べーるとー。いっただきまーす……うっまー!むっちゃうまい!」
「謙也!謙也!一口ちょうだい!」
「はあ?嫌や。自分の持ってきたらええやん」
「まだ焼けてへんもん。な、一口一口!」
「しゃあないなあ…ほな一口だけや……ぎゃあっ」
「さ、魚さあああん!」
「ちょ、むっちゃわき腹痛い…て財前!何してくれとんねん。串で刺したらあかんやろ、痛いわ!」
「せや光!わたしの魚さん地面に落ちてしもたやん、どないすんの!」
「うん、俺のやけどな」
「先輩ら、やかましいっすわ」
「な、何やと?俺の魚に…むしろ俺に何の恨みが?……ははーん。分かったでえ」
「何がやうざきも謙也さん」
「(うざきも…)さては財前、俺と花に嫉妬…あ゙ああ!」
「謙也さん、ほんまうざい」
「せ、せやかてこれ血、血出るんとちゃうか!ざくって言うた!」
「花〜、魚焼けたで〜」
「はーい」
「あ、俺も欲しいっすわ」
「自分ら、心配せえや!」


(魚を食べ始めた花)

「はふっはふっしってっる!」
「…ほんま美味そうに食べますね、先輩」
「やってほんまにうまいし、幸せや〜」
「へえ」
「何や光」
「一口よこせ」
「絶対やらん」
「よこせ言うてんねん」
「謙也に一口もろてきたら〜」
「…何、根に持ってんねん」
「別にー。嫉妬やきの彼氏がおると苦労するなあって思うてるだけや」
「……」
「あー、魚うっま!」
「…先輩」
「な……んっ」
「…彼女が、他の男と間接キスしたら誰でも嫌やろ……って苦っ!」
「あ〜、魚の苦いとこ今食べたし」
「はあ?俺、魚の苦いとこむっちゃ嫌いなんすわ…水、水」
「ほほう」
「何ですのんその顔、うっざいわ……んむっ」
「…よし。ほなわたし肉食うてくるでー!金ちゃんに負けてたまるかー!」
「……」
「蔵ー!牛食べたいー!」
「何や花負けへんでー!」
「望むところや金ちゃんめー」
「……はぁ。(何やねん…あの人)」


(遠巻きに見ていた二人)

「んんー、青春やなあ」
「光くん、ほんなこつむぞらしかねえ」
「せやなあ。財前が赤なってるん初めて見たわ」
「花もなかなか大胆ばい」
「ちゅうか二人とも、俺らの存在、忘れとるよなあ」
「分かっててやりようもんなら、二人ともバカップルったい」
「バカップル…あながち間違うてへんかもなあ」
「んー、俺も彼女に会いとうなったとよ」
「え、千歳、彼女おったん?」
「ん、おらんよ」
「…自分もたいがい分からんやっちゃなー」
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