パシテア | ナノ

「あー、頭重い。あの女やってくれたな」
「大丈夫シカマル?女の人は今カカシ先生が連れていったみたいだけど」
「そうか、悪かったなサクラ。何つうかすげえ女だったな・・・めんどくせえ」
「確かにそうね、でもわたしはカカシ先生に驚いたわ」
「何が」
「だってあんな風に喋るカカシ先生初めて見たもの」
「・・・・・ふーん」


「連れてきました」
「ご苦労カカシ・・・・・・・はいいが何でそんなそいつぐったりしてるんだ」
「いや、アハハ色々ありまして」
「(コイツいつか殺す・・・!)」

肩に担がれたままこの場所まで連れてこられたわけで、この態勢はなかなか無理があるわけで、わたしはぐったりだ。今までこんな屈辱的な扱いされたことない・・・、いつだってお姫様抱っこだったのに。

「それでお前、名前は何て言う」
「んー」
「おいコラ、火影様だぞ」
「こんな状態で話が出来るかはたけカカシ!さっさと下ろせ」
「はぁ・・・はいはい」

割と丁寧に下ろしてくれた。血が昇ってふらつく頭をこんこんと叩いていると、火影様とやらに再び「で、名は」と聞かれ、そちらに目を向けた。そこにいたのはすっごい爆乳の、・・・美人。

「ちっ、乳牛が」
「ん?何か言ったか」
「いいえー、別にー」
「コラお前、だからこの方は火影様だって言ってんでしょ」
「わたし木の葉の里民じゃないもんね。火影様の偉さなんて関係ありまっせーん」
「カカシ、何でこんなガキ連れてきた」
「いやいや、あなたが連れて来いっておっしゃったんですよ」

隣ではたけカカシは今にも怒らんとする火影様を必死に宥めている。ふんっ、五代目だか何だか知らないけどわたしは美人は嫌いです。特にわたしより乳のでかい美人は嫌いです。わたしより強い女も嫌いです。

「ま、早く名前言わないと帰れないからね」
「帰る気ないもん、帰る場所もないもん」
「・・・お前、本当にどこから来たんだ?何のためにこの里に居座ろうとしてる」
「へっ、人に物を尋ねる時はそれなりの態度があるでしょ。乳・影・様!」

そう言うと一瞬でこの場が静まり、はたけカカシはだらだらと冷や汗を流し火影様とやらは笑顔になった。え、何笑って

んのオオオオオ!!うぎゃああああ!

「ちょ、五代目殺しちゃ駄目ですってば」
「うるせえ!さっきからこいつ・・・・一発殴らねえと気が済まねえ!」
「いや、あなたが一発殴ったら死にますから」

五代目火影の両脇に腕を絡め、必死にはたけカカシが止めようとするが、逆にはたけカカシが殴られそうになっている。やばい、これ殴られたら死ぬ気がする。
ドアから逃げようかと手をかけた瞬間、ガチャリとそのドアが開きわたしの体が前に傾く。顔を上げてその人物を確認するとピンク色の髪をした女の子。よし、ナイスタイミング。

「ちょ、悪いけど助けて貧乳ちゃん」
「・・・・・しゃーんなろー!!」
「ぬおああああ!」
「ちょ、お前マヂでこれ以上余計なこと喋るな、死ぬから!」



* * * *




「それで、名前を聞こうか」
「・・・・・・」
「・・・いい加減にしなさいよ、ずっとそんな態度取ってるなら尋問部隊の方に引き渡すって手も無くはないんだからな」
「・・・・名前は無いんだから言いようがないでしょ」
「無いだと?どういうことだ」
「言ったまんま。あなたみたいに綱手なんて立派な名前、わたしは持って生まれてきてません」
「何故私の名を知ってる?」
「・・・・・伝説の三忍の一人でしょ、綱手ばあサマー」
「あなた師匠に何て口の聞き方!」
「気にするなサクラ、それよりどうしてそのことを?」

髪の毛を指でくるくると絡め、話なんて聞かないぜ態度を取っているわたしに、今度は怒る様子もなく聞いてきた。

「思い出しただーけ。初代火影の孫が五代目に就任したって話」
「それは誰に聞いた」
「・・・・風の噂で」
「・・・・・ただの馬鹿ってわけじゃなさそうだな」
「失礼だな。その手には乗らないからな」
「ふむ・・・・まあいい。後日また詳しい話を聞く」
「よろしいので?」
「構わん。それよりカカシ、こいつにこの里を案内してやれ」
「・・・・はぁ、了解」

はたけカカシは五代目に一礼するとわたしに手招きをした。それに着いて部屋を出ようとドアをくぐろうとする所で後ろを振り返ると五代目が何やら不敵な笑みを浮かべわたしを見つめていた。
側に立つ貧乳・・・じゃなくてサクラ?はわたしを敵対心丸出しで睨み付けているけど。何ぞ。

「んー、貧乳って言って悪かったね。あなたわたしほどじゃないけど顔は可愛いんだから自信持てば」
「へ」
「んじゃ、失礼しましたー」

バタンと戸が閉まる音がして、二人の姿が見えなくなった。少し離れた所ではたけカカシが腕組みをしてわたしを待ってる。
あの野郎、さっきの仕返しついでに一発蹴りいれてやる。

「とゥらあああー!」
「あーはいはい。スカートで足振り上げないの、見えるよ」
「ちょっとは焦れはたけカカシ!」


* * * *


「・・・・何ていうか、本当に変わった人ですね。良かったんですか師匠」
「ん、ああ。そうだな・・・・・ちょいと前に自来也に聞いた話を思い出してな」
「何です?」
「いや、それがな。あいつが旅をしてる最中にそれはそれはこの世の者とも思えない美人に会ったらしくてな。そいつは自分の美貌を何よりの武器にしていて、出会った男全てを虜にしていったらしい」
「はぁ・・・え、それが今の人ってことですか」
「恐らくな。その女は赤い髪にど派手な着物を着てるって話らしいしな」

それに、自来也はその女口説こうとして逆に幻術にかけられて死にかけたって言ってたからな。なかなかのやり手だろう。

「それにしても師匠、それなら尚更野放しにしてはいけないんじゃ」
「いや、あいつはな・・・どこの里にも留まらず特別な組織にも所属しない旅人みたいな女なんだよ。
それに尋問にかけた所で意味は無い。あいつの瞳術にかけられてみんな伸びちまう」

それにしても、あいつがあの噂の赤髪だとはな。面白い女も来たもんだ。



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