罪を犯し、服役していた俺らに陸での居場所はなかった。全うに生きるべきだと思っていた。過去の罪を忘れるのではなく、それを背負いながらも普通の人のように生活していこうと思っていた。しかし、それほどまでに世の中は甘くはない。

“元犯罪者”

この言葉を幾度となく言われ続けた。どんな仕事でもやるつもりで、様々なところに行ったが、返事はNO。皆、同じ回答であった。雇ってくれ、そう頼んだ店は数えきない。そのうち街中でも噂をされるようになった。大人に蔑んだ目でみられた。子供に石を投げられたこともあった。目で声で態度で俺に出ていけと言っているのがわかった。ここに居場所はないのだと、ようやく理解した。

そうして俺は海に出た。人があまりいない海ならば、こうやって避難されることもない暫くは一人であったが、同じ境遇の者、噂を聞き付けてやってきた者などが集まり、海賊団を結成した。

これが俺ら“クリーミネ海賊団”のはじまり。

─────────

「せーんちょー。また、副せんちょーにパンツ盗まれましたー。」

この海賊団の結成されるまでのことに思いを馳せていると、抑揚のない話し方で、この船では日常茶飯のことを訴えてきた。霧牙にパンツを盗まれることなど普通なのだがな、と思いつつも、笑ってしまう。

「ははっ、気にするな。いつものことだ。」

「えー。確かにいつものことですけどー、いい加減気持ち悪いでーす。」

「ちょっと!!俺のどこが気持ち悪いわけ?普通でしょ!?」

「普通じゃないっすよ。キモいっす。」

「パンツはすっっっっごく!!素敵なものなんだから、仕方ないでしょ!!!!!!」

「ちょっとぉ〜!!あんたたちうるさすぎぃ!ちょっとは静かに出来ないわけ!?」

「そーいうリナ先輩が一番うるさいですー。」

ワイワイガヤガヤとうるさいながらも楽しいと感じるやり取り。皆、この船に乗るときは暗い目をしていた。それでも今は目に光がある。輝いている。それが堪らなく嬉しくて、口許が緩む。

しかし、いつまでもこの状態だと何も進まないため、そろそろ注意をしようとしたところに、シェーヌが現れる。

「おら、坊主たち。いつまでもしゃべってないで、さっさと仕事しろー。」

いつもタイミングよく現れては皆に注意をする姿を見て、なんでこいつが副船長ではないのか?と感じたが、それは言ってはいけないことだったと気づき、考えることを放棄した。シェーヌの注意に皆、口を揃えて“はーい”と答え、自分の持ち場に戻る。それを見て、シェーヌも持ち場に戻ろうとしていたから、礼を言うと振り向かず手をあげてから戻っていった。

「さて、俺もそろそろ仕事をするか。アクア、今日の海の具合はどうだ?」

「今日は穏やか。それから、東に向かうといいことあるって言っている。」

「お、そうなのか。じゃあ、今日は東に向かおう。」

皆に東に向かうと伝えると、早く出航したいからか作業の手が早まる。そして先ほどよりも、輝いた目をしている。俺もこいつらも、逃げるように海に来たが、本当に海が好きだなと思う。

「今日も1日楽しんで行こうな。」

クリーミネ海賊団
(ワイワイガヤガヤ。これでこそ、俺たちだ)





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