終わらない恋になれ




放課後、永久は担任に頼まれていた仕事を終え、教室に戻ってきた。ガラッと音を建て扉をあける。ホームルームを終えてから時間もたっているため、教室には誰もいないだろうと予想していた永久は驚く。彼がいる。永久が一途に想う彼が永久の机で眠っていた。夕日が射し込む教室。茜色に彩られる彼の寝顔。二人しかいない教室。永久はゆっくり彼に顔を近づけ、そっと口付けをした。狡い行為だというのはしっかり理解してはいた。それでも止められなかったのは、これを逃したら一生できないと思ったからだ。口付けをして下を向き考え込む。スッと顔を上げ謝罪する。否、しようとした。永久が顔を上げると彼は目を開けていた。永久は驚き、再び下を向く。

「永久。今、俺にキスした…よね?」

彼は真っ直ぐ永久を見つめ確信をつく。永久は唇を噛み、唸るような絞り出すような声で小さく謝る。ガタッと音をたて彼は立ち上がり、永久に近づく。ビクリと体を震わせた永久を彼は?謝らないで?と言い抱き締める。どうして抱き締めるのか。どうして怒らないのか。どうして笑みを浮かべているのか。永久には皆目検討がつかなかった。戸惑う永久に彼は少しだけ体を離し、口付ける。目を見開き驚く永久に笑みを浮かべ、何度か口付けをした。

「なに…どう………え?」

「俺、永久のこと好きだから嬉しかったよ。嬉しくてキスしちゃった!」

舌を出し、テへッ!とぶりっ子をする彼を可愛く想うのは惚れた弱味というやつなのだろうかと永久は一人ごちるが、すぐに思考は違う方へ飛ぶ。彼は永久を好きだと言ったからだ。

「すき…?俺を?」

「そう。永久を。友情的なものじゃなく、もちろん恋愛的な意味で。」

「本当に?」

「本当だよ!永久は俺が嘘つくと思ってるの?ひっどいなぁ。」

そう言ってクスクスと笑いだした。永久はその様子をじっと見つめる。それに気づいた彼は笑うのをやめ、真っ直ぐに永久を見つめた。

「永久も俺のこと、好きでしょ?」

恥ずかしげもなく確信をついてくる。自分の気持ちを相手から告げられるのは照れる。永久は思わず、赤面してキョロキョロと目を泳がせながら頷く。

「だよね!両思い!だから、俺と付き合ってくれるよね?」

にっこり笑って永久の手を握る。あざとい、とてつもなくあざといと感じながらも永久は自分の胸が高鳴るのがわかる。頷く永久に待ってましたとばかりに彼は噛みつくようにキスをする。唇を離し、額同士をつける。

「ずっとず〜っと俺のワガママ聞いてね、永久。」

「任せろ、つくし。」

これが火山永久と露草つくしの馴れ初め。二人の始まり。?ずっと?という言葉は確証のない未来。絶対に訪れるとは限らない。けれど、二人は?ずっと?一緒にいるのだろうと感じていた。ずっと、一生、何があっても離れることはないことを漠然と、しかし確実にそうであると確信していた。

終わらない恋になれ 
(離さない。離れない。)


 

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