目が焼けるように痛い夏の日差しに小さく舌打ちする。うぜえ。無意識に口が動いてそう呟くと、隣を歩いていた黄瀬が顔を上げた。真っ直ぐなくせに奥の奥の奥が淀んでいる虚しい金の双眸が不思議なものでも見るように俺を映す。なんだよ。別になんでもないッス。じゃあこっち見んな。そう言うと黄瀬が名残惜しそうに視線を逸らした。馬鹿だな、別に見てていいのに。咄嗟にそう思った自分を自分で殴りたくなった。それじゃあ黄瀬に見てて欲しいっていってるようなもんじゃねえか。もどかしいような、そうでもないようなイマイチ理解できない感覚に苛立つ。心臓を生易しく撫でられてるみたいなこの感覚はキライだった。酷く不快。

「青峰っちー」

黄瀬の生温い声に視線を滑らす。へにゃっと笑った顔になんとも言えず眉間に皺を寄せて表情だけで返すと、変な顔。と笑われた。ほっとけ。

「すきっすよ」

ガキかお前は。と言いたくなるような簡単な告白。一瞬言葉に詰まってバレないように静かに息を抜いた。

「そうかよ」

いつも通りにあしらおうと思ったのに喉から出た声が想定外に甘ったるくて、俺はまた自分を自分で殴りたくなった。黄瀬の笑顔が背景の太陽より目に痛かくて直視できない。





いやもうこれダレ峰
デレ峰を頑張ろうとした結果です

20120725




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「見えない臓器の名前は」
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