※黄瀬の性格が悪い、黄瀬→青峰←黒子風味


独占欲塗れな手を伸ばしてすべて欲しいなんて望んだ時期もあった。でも無理だということは元々から知っている。だから伸ばした手は自分で折って、残った足だけを一生懸命動かした。一生懸命、これでもかって程。ただ、追いつきたかった。隣に立ってみたかった。

▼△

青峰っちが部活に来ないなんて最近は普通だった。でも彼より強い選手がいないことを知っているから、キャプテンも試合に出す。平部員の不快感も感じたが、俺はそれより黒子っちと青峰っちの間で不協和音が溢れだしたのに気付いた。それは徐々に周囲へ広がっていき、足元からキセキの世代を絡みとる。ぶっちゃけると、なんとなくこれの正体は分かっていた。

▼△

それぞれのバスケを見つけた。各々実力が上がっていくのはいいことだと素直に思っているのは平部員だけだろう。俺たちはちゃんと感じていた。試合中の違和感。ミスなんてしないと分かっているのにパスを出し難くなってきた自分の心情。自我の強いひとたちが集まったチームだからか、不協和音がコートを支配するのにそう時間はかからなかった。

▼△

本格的に青峰っちが黒子っちと合わなくなった。試合中、コートに立っているうちはまだいい。それ以外のとき、ただ彼らは他人のように干渉し合わなくなった。俺は舌舐めずり。チャンスだ。

▼△

「青峰っち、青峰っち!」
「…なんだよ」
「あのね、次の試合俺のパス受けて欲しいッス!」
「…なんで」
「いいからいいから! いつも黒子っちばっか狡いッスよ、モノは試しっていうじゃないッスか」


「…ね?」

▼△

黒子っちが絶望したような顔をする。悲しいけど、でも譲れない。俺だって好きなんだから。薄っぺらい嘘なんて本能で見破っちゃう青峰っちを騙せるように笑顔に笑顔を重ねて、そして笑う。綺麗な嘘なんてない。汚い欲ばっかりに塗れた感情を剥き出しに、唇を寄せた。

「負けねえッスよ?」

だから、ほら。黒子っちも頑張ってよ。薄い水色の双眸に、自分の醜いものが浮かんで見えた。馬鹿みたいに正直な目だ。笑う気力さえ削がれた。




黒子と青峰が仲悪くなるのが嬉しい黄瀬のお話。黄瀬クラスタの友達には見せられない
わたしはこういうちょっと黒い黄瀬も大好きですよと主張しまry

20120727



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -