※R18にならなくても限りなく下品


「なにをしているのだよ」

冷たい声に従って背筋が凍える。ヤバイ、ミスった。口に出すことをせず脳内でそれだけ呟いて高尾はベッドの下に伸ばした手をそろりと抜いた。

「…え、なにも?」
「嘘を吐くならもっと巧く吐くのだよ。なにをしていたのか言え」
「えーと…」

意味もなく正座して目の前で仁王立ちする緑間と視線を合わせないようにカーペットを見つめた。おいおいここ俺ん家なのになんだこの温度差。勿論思っただけで口には出さない。

「…ここになにかあるのか」

なにも喋らない高尾に呆れたような溜息を吐き、緑間が高尾が先程まで腕を突っ込んでいた場所に手を伸ばした。それを見た高尾は焦るどころの騒ぎではない。

「ちょ、待て緑間待て待て待て。待てって!」
「…な、なんなのだよ」
「いやいやいやいやいや、もう触っちゃった? もう取っちゃった? お前腕長過ぎなんだよ!」

ふざけんな! と理不尽にも怒りを露わにする高尾に、緑間は気持ち悪いものを見る目を向けてベッドから出したものを床に投げた。

「なんだこれは」

ローションと手錠、縄等々の拘束具、また緑間には名前も使い方もよく分からない玩具が出てきた。

「ち、がうんだって。ね、真ちゃんあの、ね」
「なんだ」
「えーと、」
「これはどう使うものだ、高尾」
「え? あー、なんだろーね。俺も分かんねーわ」
「じゃあこれは。」
「ちょ、真ちゃんそんなん持つなって! 汚えから!」
「使ったのか、バイブ」
「名前知ってんじゃん!!」

高尾は大声で言ってから、緑間の言葉に否定を示すことを忘れていた、つまり肯定してしまったことに気付いた。使ってない使ってないと後付けのように言っても緑間は聞いていない。まじまじと毒々しいピンクの男性器を模したものを見つめるとなにを思ったのか高尾の鼻を摘んだ。

「は、!?」

意味も分からず口を開けば、またなにを思ったのか開いたそこにバイブを突っ込まれた。そのまま躊躇うこともせずスイッチが入り、ブブブブブブという人工的な振動が喉の奥に響いた。唾液だけが出てくる出てくる。気持ち悪い吐ける、と思うのと同時に、吐いてたまるかと思って力任せに緑間を押し返した。

「なにすんだよ!」

口の中からバイブを抜いてベッと舌を出す。唇から漏れた唾液を乱暴に拭う。気持ち悪く揺れる感じが未だに残っている。ああ、もうやだやだ。高尾が睨んでも緑間は焦る様子ひとつ見せない。それどころか珍しくきょとんと表情を変えると、首を傾げた。

「こういうことがしたかったんじゃないのか」

事が事だけにちげえよ! とは言えなかった。



タイトル:深爪



ギャクだと言い切るけどなり切れてないことくらい分かってる

20120725



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