※肉体関係のみ



「痛い」

黄瀬は擦れたその声に明確な答えを返さず、息を吐く。なにを言ってるんだ、この男は。そう黄の目が壁を見ながら言うのを、見ている筈なのに知らないふりをして高尾はまた小さく唇を動かす。その目はただ真っ直ぐに天井を見ていた。高尾はベッドに寝転んでいて、黄瀬は、その顔を覗きこもうとして、やめた。彼の表情はベッドに腰掛けて背を向けている黄瀬には見えなかったけれど、きっと、歪んでいるものなのだろうと考えたからだ。オレンジ色の目は、絶対に黄瀬を見ず、また黄瀬もその黄の目で高尾を見ることはない。お互いが本心で見ているものなど、この狭くて安い性行為のためだけ作られた一室には存在しないのだ。

「物理的殺傷よりも、きっと刺さるのは、感情のほうが痛いと思うんだよねぇ」
「…そうッスかね」
「…俺、…違うな。俺とお前は、そういうことをしてるんだよ。滑稽で、惨めで、醜い」

高尾の声はよく響く。耳から入ってくるその染みわたるような声に耐えられなくなって黄瀬は首だけで振り返った。オレンジ色の目は薄暗い室内で僅かに光っているように見えたが、やはり濁っていてそこまでキレイな色を見せない。黄瀬は、己の目もこれほどまでに擦れているのだろうかと不安になり、払拭するように高尾の剥き出しの首筋に噛みついた。あのひとを思わせる肌は白く、そして甘く、けれど黄瀬を十分に満たすことはない。それは高尾も同じだった。黄瀬に噛みつかれたところで、抱かれたところで、満足などできないことは分かり切っている。だから、唇だけ噛む。ただ、鼓膜を震わせる空気の動きに、目眩だけを甘受している、淡い夜の出来事だった。


タイトル:酸性



分かりづらく、(黒子←)黄瀬×高尾(→緑間)。黄瀬は黒子を補うために高尾を抱き、高尾は緑間を補うために黄瀬に抱かれる。(補うっていう表現はおかしいかな…あれ…)
相変わらずわけが分からず、すいません…。
ところで(切り替え)、高尾の目はオレンジ色ですよね。すてきです。例えばですが、高尾がゾーンに入るようなことがあれば(万が一)、オレンジ色の閃光が溢れるのでしょうか。それはとてもキレイで、わたしはきっと直視できない…いとしいなあ。




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