シリーズ番外編 | ナノ


突撃☆家庭訪問:02


「か、彼女連れてきたっ!」

「お邪魔します・・・」


唯は、玄関の前でふうっと息を吐いてから、ガチャッとドアを開けた。
そして、「たのもー!」なんて叫びだしそうな勢いで家の中に向かって言葉を発する。
わたしも、唯に続いてドアの中に……、


「唯ちゃん、おかえりぃ」

「彼女どこ? ……その子!?」

「うっそ! 唯、こんな綺麗な子ゲットしたの!?」

「やーん、アダルティー☆ 優奈より大人っぽーい」

「おっぱい星人・・・」

「ねーねー、お姉ちゃん名前は?」


……ど、怒涛のお迎えですね。
唯が家に入った瞬間、どたどたどたという幾人もの足音が響いた。
そして、6人の美女たちがやってきた。
上から、お母様のエマ(恵麻)さん、麻美さん、美優さん、優奈さん、奈津希ちゃん、希恵ちゃん。
お母様、ロシア系びじーん。麻美さん、黒髪スレンダーびじーん。美優さん、金髪ぼいんびじーん。優奈さん、ピンク髪個性派かわいこちゃん。奈津希ちゃん、スポーティ系かわいこちゃん。希恵ちゃん、ツインテール萌え系かわいこちゃん。


あなたはどの女の子がタイプ!?
……ごめんなさい、黙ればいいね。


「笹川千夏です。唯さんの高校のクラスメイトで……」

「お、おお、オレの彼女!」


勢いに気おされながらも、ペコッと頭を下げる。
そんなわたしを援護しようとしたのだろう。唯が、しどろもどろになりながら、わたしを紹介してくれた。
でも……どもってるー。緊張してるー。がんばってるー。





「「「「「「「かぁあわいー♪」」」」」」」





思わず呟いた言葉は、ほかの6人と見事にかぶった。
ハッとして視線を上げると、こちらを見ていた6人とバッチリ目が合ってしまう。


「千夏ちゃん・・・あなたまさか、」

「え、こんな綺麗な子が?」

「あたしたちと同じテンションでハモるなんて・・・!」

「ってことはつまり……」

「おっぱい星人……」

「愛好会の方ですかー?」





あ い こ う か い !






「南高で会長をしております」


再度頭を下げると、眼前の6人はパァッと顔を輝かせた。
そして……、


「え、えっ!?」


目を白黒させる唯の前で、ガシッと肩を抱き合った。








**********


「まさか唯の彼女が仲間だったなんて……」

「じゃあ、唯が学園祭でメイド服を着ていたのも……?」

「……すみません。わたしがクラスを誘導しました……」


唯の家族は、そろいもそろってかわいこちゃん愛好会の会員だったらしい。
仲間だと認識し合い、固く握手を交わした後、わたしはリビングに通された。
まさかのお仲間発覚に興奮しながらも、メイド服はやりすぎたか……と頭を下げると、麻美さんが首を振って、わたしの手をぎゅっと握った。


「とーんでもないっ! おかげで、楽しかったわぁ♪」

「ナース服の子、だよね? あたしたち、目つけてたんだよー。似合ってたー!」

「千夏ちゃん、アルバム見る? あのねぇ、お写真いっぱい撮ったんだよ!」


わたしのことを覚えてくれていたらしい美優さんに頭を下げつつ、希恵ちゃんが差し出してきたアルバムを手に取る。
そして、ペラッとページをめくると……、


メイド服姿でふあっとあくびをする唯がいました。


「ナイスショット!」

「でしょー? これ、優奈が撮ったの。優奈、写真撮るの得意なんだぜぃ」

「わーわー! あずみもいるー!」

「天使ちゃんお知り合いっすか!? あの人、途中で銀髪の美形さんにさらわれちゃいましたよね? わたし、会いたいんっすけど……!」


興奮したように身を乗り出してくる奈津希ちゃん。ポニーテールが左右に揺れて、とってもかわいいおー☆


「天使・・・って、あずみだよね? 大親友だから、今度連れてきます!」

「マジっすかっ!?」


やー。やっぱり、あの天使にはファンがついたかー。
雪平くんが途中で連れていっちゃったからさ。見られなかった人も多いんだよねー。





とにもかくにも、唯の家族はとってもいい人たちで……。しかも、お仲間。
最初の緊張はどこへやら、わたしはとても楽しい時間を過ごしていた。






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