気を失う奈緒の頬を、手のひらで包む。 ……奈緒。
「・・・んっ、」
涙を指で掬っていると、奈緒が小さく声を漏らした。 ……やっばい。
それだけで欲情して、硬さを取り戻す息子。 ……すごいな、お前。
「……ごめんね、奈緒・・・」
唇を甘噛みして、ぺろりと舐め取る。 それから、ティッシュで硬くなっている息子さんをふき取って、再度ゴムを被せた。
「奈緒・・・」
耳元で名前を呼ぶと、奈緒はぴくりと動く。 ぺちぺちと頬を叩くと、ゆっくりと目を開けた。
「・・・いっちゃん、」
うつろな目でオレを見上げてくる奈緒。 オレは、奈緒に向かって微笑みかけた。
「……奈緒、もうやだ・・・?」
「や、じゃ・・・ない……」
もう限界なら……諦めて、自慰でもしよう。 そう思って問いかけると、奈緒はゆっくり首を振った。 ……奈緒、ごめんね。
「ムリ、しないで・・・?オレ……自分でもびっくりするくらい、性欲強くなってる」
「……んっ、」
頬に当てたオレの手に擦り寄るようにして、奈緒が目を細めた。
「奈緒、もう10回近くイってるでしょ・・・?ごめんね、ムリ、させた」
「ムリ、じゃ・・・ない……」
ぱくり、と、奈緒がオレの指を咥えた。 そのまま、ちゅるりと吸い上げる。
「言った。・・・好きなだけ、愛して。それが……一番、幸せ」
“幸せ”。 奈緒の、幸せは……オレが、きちんと奈緒を愛すること・・・?
「……奈緒。そしたら、我慢しないよ?」
「しないで、いい」
「もう、止まんないよ?いっぱい貫くよ?」
「……すごいね、」
ふふって、奈緒が笑う。 ……確かに。 もう3回もイってて、『いっぱい貫く』発言はすごいかも。
「それに・・・、……もう、ゴム被せてんじゃん」
今度は、乗ってもらおうと思って奈緒を抱き起こしていると、奈緒が笑顔で呟いた。 ……うん、ごめん。ヤル気満々なんですよ。
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結局、 自己最高記録です。 ……オレ、7回射精しました。 奈緒は、20回以上イったと思う。
何度も飛んで、意識を手放した奈緒。 最後は、もうろれつも回んなくて、「許して、」と舌足らずに言ってきた。
……『許して』は、オレのセリフです、奈緒さん。
「・・・奈緒……」
7回目の接合のとき、奈緒は泣き叫びながら、オレの背中に手を回していた。 自身に限界を感じていたオレは、最後はできる限りくっつきたい、という意志の元、正常位のまま奈緒を抱きしめた。
「ひぁああっ、あっあっぁああっ!!も、ゆるひ、・・・やぁあっ」
律動するたびに、奈緒の口からは喘ぎ声が漏れる。 もう、奈緒の声は掠れていて……。 苦しそうに、気持ちよさそうに喘ぐ奈緒。
「ごめんね、奈緒。はっ…もう、ちょいっ・・・」
「ひぁあっ、あんっ、ゆるひ、も・・・ムリ、いやぁあっ・・・」
髪を振り乱す奈緒の首筋は、オレがつけた痕が散っていた。 体中愛液でべとべとになった奈緒。 全身が痙攣していて、もはや正常な思考はできなくなっているようだった。 快楽地獄から逃れたいんだと思う。 許しを乞う奈緒に、申し訳なさでいっぱいになる。 ……でも、すっごく愛おしいとも思ってしまう。 オレの腕の中で、こんなにぐずぐずになっているっていう、その事実に・・・喜びを感じちゃうオレもいるんだ。 ……やっぱり、狂ってるのかもしれない。
奈緒の膣内が、再度痙攣する。 ・・・あ、またイっちゃった。 でも、辛うじて意識は飛んでいない。
「な、お・・・」
「あっぁっあっ、いち、いちっ、・・・ひぅ、あぁん・・・」
ちゅっと奈緒の唇にキスを落として、自分ごと奈緒の腰を抱え上げた。 一層深く挿入した息子に、奈緒のナカがぶるりと震える。
「おっき、い・・・硬い、っ・・・熱い、・・・ふか、い」
「……セックス中に言われたい言葉ベスト4ですね・・・」
喘ぎ声に混じりながら、奈緒がなんとなしに言った言葉に、喜びを感じる。 ……男の子ですもの。
腰を動かしながら、愛しい人を抱きしめる。
奈緒以外、抱けなくてもいいじゃん。 奈緒しか、抱かなきゃいいだけの話なんだから。
いっぱい、愛せばいいじゃん。 壊すことなんて、考える必要ないんだ。 奈緒は、オレがほかの女の子に逃げるほうが、壊れてしまうと言った。 逆だったらって考えると……すぐに、分かる。
間違った思考には、もう行かないよ。 オレ、奈緒を愛してる。
恋愛感情が分からないとか、バカなことを考えた。 分からないわけ、ない。 産まれたときから、たったひとりの女の子だけに、恋愛感情をもっていた。
あまりに自然すぎて、分かんなくなっていた。 鈍すぎる、とみんなに言われた意味が、ようやく分かった。 取り返しのつかないことになりかけた。 ……ギリギリ間に合って・・・本当に、よかった。
想いがこみ上げてきて、泣きながら律動をしたら、腕の中の奈緒もわんわん泣いていた。 生理的な涙か、感情的な涙かは分かんない。 でも・・・同じ、気持ちだったら……いいな。
「な、おっ・・・」
深く、律動して。 オレを絡めとって離さない奈緒のナカを犯した。 熱くて、きゅうきゅうと締め付けてくる。
「ひぁっ、あっあん、やぁっ・・・」
密着する体温が気持ちいい。 もう、二度と間違いは犯さない。
「も、イく・・・奈緒っ・・・」
オレも、余裕なんかない。 はあっ、という、荒い呼吸混じりに言うと、奈緒がこくんこくん、と頷いた。
「いっしょ、にっ・・・あっ、あぁっ!!」
「うん、・・・一緒に、イこ?」
笑いかけて、ガツンとついた瞬間、奈緒はひときわ大きな声を上げて、イった。
……さすがに、ヤりすぎた。
奈緒の締め付けによって果てたオレは、ゴムのナカに射精しながら、奈緒を抱きしめたまま落ちてしまった。
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