Let's 採点 LOVE | ナノ


(03)


「……い、やだ・・・」


奈緒に、オレ以外の相手ができる。
そう思った瞬間、思わず言葉を発していた。
それを聞いた瞬間、奈緒が傷ついたような表情を見せた。


「……そう、だよね。あたし、勝手だね……」

「違う!!」


きゅっと唇を噛んだ奈緒。
……もしかしなくても、オレが奈緒とお茶飲むのを拒んだと思ってる・・・?
オレは、それを否定して、奈緒の腕を掴んだ。


「……違う・・・。奈緒……オレ以外の男を、好きにならないで・・・」

「な・・・」


分かってる。
これはオレのわがまま。
自分で奈緒の決意を無碍にしたのに、虫のいいことを言っているって自覚はある。
……でも・・・このわがままだけは、通させて。
オレ・・・ほかになにもいらないから。


「オレ以外に触られないで。抱かれないで。『可愛い』って、思われないで……」

「い、ち・・・?」


戸惑う奈緒の目を、まっすぐ見つめる。
奈緒は、いまだに涙を流しながら、わけが分からない、という表情でオレを見ていた。


「オレ・・・真っ黒なんだよ、奈緒……」

「……真っ黒・・・?」

「真っ黒なんだ、心の中。……奈緒のはじめてを奪ったやつが、殺したいほど憎い」

「……い、ち・・・」

「奈緒の手を掴んだ教生、ぶん殴ってやろうかと思った。奈緒を『可愛い』とか『抱きたい』って思ったやつの性器、ちぎって燃やしてやりたい」


……自分で言ってて、恐ろしくなってきた。





「……オレ、奈緒をオレのものにしたい」

「…………っ!」





言った瞬間、奈緒の目が大きく動いた。


「でも、怖い。・・・オレの心、真っ黒なんだ。奈緒のこと、弄りたおしてぐちょぐちょにしたい。甘やかしたい気持ちと、どろどろになるまで泣かせたい気持ちがぐるぐるしてる」

「壱・・・、」

「好き、とか・・・恋愛感情とか、分かんない。……でも、オレの心、そんなに甘くて優しいものじゃないっ・・・」


ぎゅうっと、奈緒の手首を握る。


「奈緒のこと、想いすぎて怖い」

「壱・・・い、たいっ」

「奈緒が・・・ほかの男との子どもを産むなんて、考えただけで狂いそうになる。……奈緒のこと、閉じ込めて、一歩も外に出したくなくなる」

「・・・いっ、」

「……オレ・・・こんな感情持ったまま奈緒といられないと思った。・・・だから、」

「壱・・・!痛いよっ・・・!」


奈緒が、ぶんと手を振った。
……やばっ!!
オレ、奈緒の手首、強く握りすぎてた……!


「……ごめん、・・・。オレ……このままだと、奈緒のこと、壊しちゃうと思った」


オレの指のあとが残った、奈緒の手首。
……最悪だ、オレ。


奈緒に触れてもいいものか迷った。
でも……どうしても、触れていたい。
今度は、優しく奈緒の手を取り上げて、指を絡めた。
奈緒の手首を、自分の口元に持っていく。
それから、ぺろりと、自分の指の痕を舐めた。


……奈緒は、嫌がらないで、身を任せてくれた。


「……壊すのが、怖くて・・・。奈緒以外、抱こうと思えなくなってるっていうのに、危機感を覚えた……」

「…………だから、・・・ほかの女の子に、手を出したの?」


訝しげにオレを見上げる奈緒に向かって、こくんと頷いた。
奈緒は、大きく目を見開いて・・・俯いてしまう。


「……自分で言っていて、最悪だって思う。本当に、許されないこと、した」

「……バカ・・・っ、」


ぎゅう、
指を絡めていた奈緒の手が、オレの指を握り返してくる。
……え?


「奈緒・・・?」


顔を上げると、奈緒が唇を噛んで、オレを睨みつけていた。


「……あたしは・・・あたしは、壱になら……」

「・・・奈緒、?」

「壱になら……何をされても、いい」


泣きながら呟かれた奈緒の言葉に、心臓が音を立てるのが分かった。


「ほかの女の子に手を出されるくらいなら……壊されたほうが、マシだよ」

「……で、でも・・・」


真っ黒なんだよ、オレ。
奈緒のこと想いすぎて、おかしくなってるんだよ。


……そう言おうとした言葉は、奈緒に阻まれた。
奈緒の・・・唇によって。





奈緒とオレの唇は、ピッタリ合わさっていた。






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