Let's 採点 LOVE | ナノ


(04)


自室に入ってすぐ、奈緒は例のごとく部屋着に着替えた。
今日のはフード付きロングTシャツに、レギンス。
うー・・・可愛いな。





奈緒の部屋で待っていると、とんとんと階段を上がる音。
……なんだけど、ちょっと遅い……?


異変を感じたオレは、閉まっていた奈緒の部屋のドアを開けた。
すると……奈緒は、両手に10本くらいの缶を持っていた。


「な、奈緒・・・?」

「おっもい!……ありがと、」


そして、慌てて奈緒に駆け寄って缶を半分引き取ったオレに、にこりと笑いかけると、ちょっとよろめきつつ部屋に入ってきた。
そして、奈緒の部屋に置いてある、ミニ冷蔵庫に、その缶を入れていく。


「奈緒・・・コレ……」

「んー?壱、お酒飲んだことない?」

「や……ある、けど・・・」


学園祭や体育祭の打ち上げなんかで飲むこともあったし……。
それに、ラブホってお酒置いてあんじゃん?私服で行ったとき、たまーに飲んだりする。
……なんか、気分乗らないとき、とかね。


「んじゃ、飲も」

「え、あ・・・でも、こんなにいいの?」


奈緒んち、なんでこんなにお酒のストックがあるんだろう……?
そう思って問いかけると、奈緒はきょとんとした後、にっこり笑った。


「うん。これ、お父さんの会社の試作品なのー」

「試作・・・?あ、」


そうだ。奈緒パパ、確かお酒のメーカーの開発やってんだっけ。
それで、大量に貰ってくるんだった。オレの親父も、よく奈緒パパの会社のお酒もらって、飲んでる。


「まだまだ大量にあるからね。……飲もー」

「い、いいけど・・・どうしたの?」


奈緒の家には数えきれないほど来てるけど、お酒を飲むのははじめてだ。
……なんで、だろ?


「今日金曜だし・・・あと、ちょっといいことあったから!」


ぷしゅっと1つ目の缶のプルタブを開けて、奈緒が嬉しそうに笑った。
……可愛いし、いっか。


そう思ったオレも、奈緒に渡された缶を取って、奈緒の缶にぶつけた。








**********


それから、1時間。
オレは、目の前の光景に絶句していた。


「いーっちゃん?のまにゃいのぉ?」

「な、奈緒さん・・・?」

「にゃーんで奈緒さんかなぁ?なおなおでしょお?」

「な、なおなお・・・」


そう呼ぶと、奈緒は桜色の頬を緩めて、破顔した。
……マジで?奈緒って、お酒弱かったのー!?


2缶目に差し掛かる頃から、なんかおかしいなーとは思ってた。
急に「いっちゃん」呼びになるし、頬が色づき始めたから。


んで、3缶目に差しかかったくらいから、「ナ行」が「にゃ」になりはじめて、語尾が伸びてきた。
「わー可愛いー」とか思ってた自分を殴りたい。


そして、ハイペースで4缶目に突入する頃には、奈緒は明らかに酔っ払っていた。
……つか、酔っていたのは3缶目からか。
4缶目から、なんかエロくなってきたんだ。


口の周りについたお酒がおいしいのか、ペロペロ舌は出すし、目が情事中みたいに潤んでいる。
首はなぜかこてんと傾いているし、瞬きはゆっくりだし……。
おまけに、スキンシップが激しい。


もう、オレにどうしろっていうの!?


「いーっちゃん?」

「うぅ・・・なおなおー……」


本当、今日できないなら煽んないで・・・!
つかもう……下半身にクるから!!


「ふふっ・・・」


クスクス笑った奈緒は、舌を舐めると、とんでもないことを口にした。


「ねね?ちゅーしよ?」

「え、えええええ!?」

「ちゅう・・・?」

「だ、だめでしょっ?」


迫ってくる奈緒を、慌てて押し返すと、奈緒はぷーっと膨れた。


「なんでえ?いっちゃん、あたしとちゅーしたくないのぉ?」

「し、したいけど!!」


奈緒の唇凝視してると、うっかり吸い込まれそうになる。
だ・・・だめっ!酔ってるときに、約束破っちゃ……


「100点になるまで・・・ダメなんでしょ?」


奈緒の肩を押さえて言うと、奈緒はちょっときょとんとした後、ペロッと舌を出した。


「そおだったねぇ。ごめんね?」





あーあーあーあー!!!
もう、オレどうしたらいいんだよっ!!






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