Let's 採点 LOVE | ナノ


(02)


オレは、2人に縋るような視線をぶつけた。
答えを知ってるなら……教えてほしい。……そういう、気持ちで。


「あずみも、俺もバカだったが……お前も、とんでもなくバカだな」

「え!?紳くんとあずみちゃんの馴れ初め聞きたい!」

「壱・・・今、壱の話してる、だろ?」

「……はい」


譲がオレをたしなめる。
……うぅ・・・。


「……ま、これはお前が自分で気づくことだな」


肩をすくめた紳くん。
えー!?答え、教えてくれないの!?


「オレも・・・そう、思うな」


こくんと譲が頷く。
マジで!?譲まで意地悪すんのー!?


「な、なんでえ!?」

「なんでって……人に言われたところで、納得できる感情じゃないからだろう」


見下ろすようにオレを見て、紳くんが口角を上げる。
……う、わっ。かあっこいー・・・。


「……さて、」


ガラッ


紳くんが、椅子を引いた。
そして、バッグを持って立ち上がる。


「オレはあずみのところに行くが……壱は、どうする?」

「え?……あー、行く」


オレも、バッグを手にとって立ち上がった。


……奈緒に、会いたいんだけどさあ。
いまのオレ、たぶん感情ドロドロなんですよ。
だから……あんまり、会いたくない・・・かも。何するか分かんないって言うか……。
現に、この間変な感情に支配されて、無理やり学校でヤっちゃったし……。


「譲はー?」


いまだに椅子に腰掛ける譲に声をかけると、譲は軽く首を振って、ちょっとだけ口角を上げた。


「……まだ、美姫さんから連絡来ないんだ。帰って、いいよ」


ばいばい、と譲が手を振った。


「あぁ。じゃあ、また来週な」

「じゃあねん!」


今日は、金曜日。
土日をはさむから、次に会うのは来週なんだ。


オレと紳くんは、譲に手を振って教室を出た。








**********


「うーわ、また来た」

「だからなんでそういう言い方すんだよ!おかん!!」

「おかんじゃないっつーのっ!!」


奈緒を迎えに3−Dの教室に入った瞬間、おかんが噛み付いてくる。
うー……。毎日毎日、おかんはひどいっ!


「それにねえ、あたし『おかん』なんて呼ばれてないから!」

「はぁ!?おかんの異名はおかんだろ!?」


何を隠そう、おかん……笹川千夏も、五大美女の1人。
確か異名は『おかん』だ。


「……まあ、南高では・・・『おかん』だけど、」

「千夏は、他校では『お姉様』だよ」


と、会話に入ってきた奈緒が、呆れたように口を開いた。


……え?
笹川がお姉様?


「学校内では、このちょっとおせっかいな性格が、」

「なーおー?」

「……姉御肌な性格が浸透してるし、あずみとセットでいることが多いからねー。いつの間にか『おかん』呼ばわりされてたけど、他校の人には当初の呼び名で呼ばれてるみたいよ」


へ、へぇ……。
そうか。あずみちゃんと一緒にいて、世話焼きまくってたから『おかん』になっちゃったのね。
奈緒の説明に妙に納得して、腰掛けて紳くんに頭を撫でられているあずみちゃんを見る。
……たぶん、よく分かってないんだろう。きょとんとオレを見上げてきた。


……つーか、紳くん。会話に参加しようよ。
なに1人であずみちゃん可愛がってんだよ……。


「……ということで、『お姉様』って呼びな」

「やーだよっ。おっかーん」

「……奈緒・・・アンタの幼馴染、殴ってもいい?」

「んー?もともとバカなのに、さらに頭悪くなると困るから……頭はやめてあげて?」

「なおなおひどいっ!!」


何その言い草!?


目を剥いて奈緒を見ると、奈緒がクスって笑った。


「……壱、帰るの?」

「え、あ・・・うん」

「ん。じゃあ、帰ろっか」


奈緒が、バッグを手にとって、立ち上がった。
クラス中から落胆の声が聞こえてくる。
……オレ、このクラスのやつに、なんでか嫌われてんだよなぁ……。


「じゃ、バイバイ!」


奈緒が、おかんやあずみちゃんに向かって手を振る。
それから、紳くんに向かって向き直った。


「あ、あと……。明日、あずみと遊ぶ約束してるから、金曜日だからって足腰立たなくなるまでシないでね?」

「ななななな奈緒ちゃん!!!???」


顔を真っ赤にしたあずみちゃんがガタンと立ち上がって、奈緒の口を塞ぐ。
すると、紳くんがふん、と笑って、口角を上げた。


「考えておこう」

「……あずみ、がんばってね?」

「ちょ、な・・・えー!?」





……やっぱり紳くんはドSだ!!!






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