「……壱?」
「……なおぉ・・・」
涙目で訴えると、奈緒がこてんと首を傾げた。
「ゴム、ないよ・・・」
「…………、」
言った瞬間、奈緒が目を伏せた。 そして、まつげを震わせながら、かたりと一点をゆび指す。
「……財布の中、」
「……へ?」
奈緒が指差したのは、オレたちが手荷物を置いていた机の上。 小さなサブバッグを震える指で指しながら、奈緒がポツリと呟いた。
「財布の、中に・・・ゴム、入ってる」
「………な・・・なんで?」
奈緒のサブバッグに手を伸ばしながら、疑問が拭えない。 なんで?なんで奈緒……ゴム持ってるの?
実は奈緒のナカには指を差し込んだまま。 それを微かに動かしながら、奈緒に問いかける。
「ひぅ・・・あ、っ……」
「奈緒・・・ゴム、出すよ?」
「ふ、う・・・」
こくんて頷いた奈緒。 オレは、右手だけで奈緒の財布を開く。 ……小銭入れのところに、この間オレが置いていったゴムが入っていた。
「……奈緒?なんで入ってんの?」
「………っ、」
問いかけると、奈緒は真っ赤になって黙り込んでしまった。 ……え?どういうこと?
「……ねえ?誰かとヤる気だってってこと?」
まさか、あの教生と? つーか、もしそうだとしたら、奈緒オレが置いていったゴムで教生とヤろうとしてたってこと? 奈緒、そんなことしないよね? そんな人じゃないよね……?
「奈緒?・・・なんで?」
「あ・・・」
奈緒が、目からぼろって涙を零した。 頬はさっきよりもずっと真っ赤になっている。
「なーお?」
オレが責めてるみたいで、言いにくいのかもしれない。 だから、問い詰めたい気持ちを抑えて、努めて穏やかな声で問いかけた。
……本当は、ひどいことをしてでも理由を話させたいけど。 もし本当に教生とそういう関係だったら……。 オレ……教生のこと、殺すかも。
「い、ちが・・・」
自分でもどん引きするようなことを考えて、自分でびっくりしていると、奈緒が漸く口を開いた。 そして、震える唇で、曲げた指を咥えた。
「壱が・・・コンドーム、持たなくなったから……もし、学校でこういう雰囲気になったときのために入れ・・・ふぁあっ!?」
最後まで聞いてなかった。 ……ゴムは、オレと使うために持っていたらしい。 それが分かったら、もう十分だもん。
奈緒のナカに挿れていた指をくにっと曲げて、奈緒が震えている間に自分のモノにゴムを被せる。
「奈緒は、オレとこういう風になったときのためにゴム持ってたんだ?」
「ふ、ぇ・・・」
こくん、と、奈緒が頷く。
「ごめ・・・」
「謝る必要ないよ。……すげー嬉しい」
言いながら、奈緒のナカに性器を沈めていく。奈緒の背中に覆いかぶさって、一気に腰を穿った。
「は、ひぁぁあっ!?」
「はっ・・・狭っ、」
相変わらず熱くて狭い奈緒の膣内。 机の縁を握り締める奈緒の手の上に自分の手を重ねて、背中に舌を這わせながら腰を律動させる。
「ひぅ、ぁっ、あっ・・あん、あっ」
律動にあわせて、奈緒が高い声を上げる。 後ろから突いているからか、いつもより深いところまで入っていて、気を抜くとすぐ持っていかれそう。
「ま、あっ・・・いっ、痛い・・・いたっ、」
「え・・・?」
と、しばらく律動していると、奈緒が不穏な声を上げた。 痛い?
「え?奈緒!?痛い?大丈夫!?」
「ふっ・・・胸・・・胸、痛いっ……」
胸? ……あ、そっか。
机にうつ伏せになるように覆いかぶさっている奈緒。 たぶん、立ち上がった乳首が机に擦れて痛いんだ。
「ごめん・・・」
痛がってる奈緒も可愛いけど……。 って、そんなこと思っちゃダメだよ、オレ。
とにかく、その状態を脱するために、オレは近くにあった椅子を引いて、自分に引き寄せた。 そして、奈緒の腹部に手を回して、くいっと引っ張る。
「ひ、ぁぁっ!?」
奈緒に手を回したまま、後ろにあった椅子に腰掛けた。 奈緒のからだは、勢いのままオレの足の上に腰掛けるようなかたちになる。
「あっ、あぁぁぁっん、――っ、」
と、その刺激のせいか、奈緒がオレの上でびくんびくんと震えた。 奈緒のからだが完全にオレの上に座って、咥え込んだオレの息子が奈緒を思いっきり突き上げた瞬間、奈緒は絶頂を迎えてしまったらしい。
きゅうっと締め付けられる息子さんにエールを送りながら、オレは精液を吐き出さないように堪えた。
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