愛☆猫 | ナノ


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Side Ayumi



「んじゃあ、かーえろっ!」


跳はへらへら笑って、再度わたしの手をとった。
わたしも、こくんと頷いて、跳について歩き出す。


そして、部屋の前まで着くと、跳がにこっと笑った。


「じゃあ、あゆ・・・。明日から、がんばってね?」

「うん!」


ぽんっと、跳の手がわたしの頭の上に乗った。


「あ。……あと、久々のシリアスモードで忘れてたんだけど……」

「へ?」


と、跳が、首を横にかしげて、へらへらしながら口を開いた。


「にゃあって、」

「言わないよ!」


……そう。
そういえば、今日も一番最初にそんなこと言ってたっけ……。
跳は、なんかよくわかんないけど、わたしに「にゃあ」って言ってほしいらしい。
よく、意味が分からない……。


「なんでぇー?ちっちゃいころは、一緒に猫ごっこしたじゃーん・・・」

「それ、いつの話だよ……」


呆れたように言うと、跳はぷーっと膨れた。


「……毎度聞いてるけど、なんで?」


理由を聞くと、跳は口角を上げながら、いつもと同じことを言った。


「だってあゆ、猫ちゃんだもーん!」

「いや・・・確かに【猫】だけど……」

「ちがーうのぉー。あゆはねぇ、白猫ちゃんなのっ!ほんっと、首輪つけたい!で、鈴もつけたいなぁ。でね、『鈴の音鳴らしたらおしおきだよ?』っつって、からだ舐め回して……。で、震えてチャリンって鈴の音が鳴っちゃったら、首輪引っ張ってオレのをあゆの口にぶっこん、」

「ご、ごめん・・・よく分かんないし、あんまり聞かないほうがいいような気がする……」


へらへら笑いながら良く分からないことを口にする跳。
……でも、意味を知ったら絶対どん引きしそうな気がする……。
お兄ちゃん、よく跳のこと変態って怒ってるし……。


ということで、跳の口を手のひらで覆う。


「むーみゃっ、」


と、跳が何かを口にした。
その後、手のひらに生暖かい感触。


「ひゃあっ!?」


……このやろう・・・。
手のひら、舐めやがった!


「んま、それはおいおい達成するとして……」

「いや・・・たぶん、わたしが『にゃあ』って言うこともないし、首輪なんてありえないと思うよ?」

「…………っ!!」

「え?・・・なに?」


反論の言葉を述べた瞬間、跳がはっと驚きの表情でわたしを見た。
……え?どうしたの、この人?


「にゃあって、言ったぁー!」

「へ・・・え!?」


え?
…………あっ!もしかして、「『にゃあ』なんて言わないよ」の『にゃあ』!?
なにそれ!?


「んー。今日はコレで満足かも♪」

「わあああっ!?」


跳は、ガシガシとわたしの頭を撫でると、満足そうに頷いた。
……ま、いっか。


「んじゃあ、あゆ?これ・・・」


と、跳が1枚のメモを差し出してくる。
そこには、跳の手書きの文字が書かれていた。


「あゆには知識が必要って言ったでしょお?……せめて、これくらいのことは学んどかなきゃ」


にっこり笑った跳。
……ああ。コレを調べろってことね?


「ん。……分かった。ありがと」


笑って返事をすると、跳は笑顔で「どーいたしまして」と返事をしてくれた。


「んじゃあ、あゆ?おやすみー」


ゆるーく手を振った跳に、わたしも手を振り返す。


「うん。……跳、ごめんね?わがままばっかり言って。ありがとう!」


それを聞いた跳は、ちょっときょとんとしてから、破顔した。


「んーん。オレも、おせっかいいっぱい言ってごめんねぇー?」

「ううん。嬉しかったよ!」


心配してくれるのは、嬉しいよ。


「じゃあねぇ!」

「おやすみ!跳!!」


ぶんぶん手を振って、跳をお見送りする。
……ごめんね。





跳の姿がなくなるまで見送った後、自室の鍵を開けて、部屋の中に入った。
そして、共同スペースのソファに座って、颯斗を待つ。


「……この間に、調べちゃおっかな」


わたしは、デスクトップのパソコンと、小さいノートパソコンを2台持ってきている。
一旦部屋に入ってノートパソコンを取ると、再度ソファに座ってパソコンを起動させた。


「んーと、調べ物・・・。まずは……セックス?これくらいなら、分かるけどなぁ。子ども生む前にする運動でしょ?」


わたしは独り言を呟いて、カタカタとパソコンをいじった。






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