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「……………」
「……………」


おはようございます、と言えばいいのかおはよう、と言えばいいのか。

まったく同じタイミングで部屋から顔を出したのであろう宇宙人は、私と顔を合わせるなりほんの少し嫌そうな顔をした。…ほんの少し、ってのがどんな対応を取るか、迷わせるからやめて欲しい。あからさまにしてくれた方が気が楽だよ!……ああ、昨日のことは夢ではなかったらしい。

サッカーで宇宙を救っただとか、一時的な月の観測不能状態の原因である張本人だとか、異星間交流の一環だとか……天馬君の説明は正直私の許容範囲を大きく越えていたから、私はずっと黙って頷いていた気がする。周囲のみんなもそうだった気がする。所謂キャパオーバーってやつだ。正直今だって半信半疑である。

けれど確かに今、目の前にいるオズロック(…くん?さん?分からないよ!)が明らかに私達とは違う肌の色をしてるのは確かだ。髪の色や目の色だってまるで作り物みたいな色なのに、生きているのを感じさせる生々しさを持っていた。異質なものに関わるのは怖い。目付きだって威圧感たっぷりだ。年齢だってよく分からないし!

危ないものには近づかない。関わらない。石橋を叩いて渡るのは当然。…でもまあ、同じ場所に住んでいる以上挨拶ぐらいは最低限の礼儀なわけで。


「…おはよう、ございます」


絞り出したのはやっぱり、外れのないであろう敬語だった。すぐに目線だけで会釈して、なんでもない風を装ったまま朝ごはんのために階段へ向かう。振り返らない、振り返らない!あ、でもこれは昨日の自分の失礼な態度を抜きにした、宇宙人と私のファーストコンタクトなんだ。うう、やっぱり信じられない!


1日目:朝



(2014/12/03)

短めで時々長くなる感じになると思います。他のものと一緒に上げていきたいところ。